このページでは中学3年間の集大成、
中学3年生の理科を見ていきます!
「イオン式がよくわからない…」
「運動や仕事がニガテ…」
「暗記が多くてメンドクサイ…」
…と思っているそこの君!
この先に進んで理科のニガテ意識を克服していきましょう!
中3理科も中1・中2と同じく「理論・計算の1分野」「暗記の2分野」という構成で進んでいきます。
しかも!これまでよりも内容も増えて難しくなるから気を引き締めていきましょう!
特に1分野は中1・中2の基本が重要なので、ニガテな単元は「中1理科」や「中2理科」のページに戻って復習して下さいね。
中3の理科では、こんなことを学習します
【1分野】
運動と力学、化学変化とイオン、エネルギーとその変換
【2分野】
生命の連続性、地球と宇宙、自然と人間
このページでは、中学3年生の理科で絶対に抑えておきたい学習ポイントを「分野ごと」にご紹介させていただきます!
こんなページも見られています!
>>中学3年生の教科別学習ポイント
2021年4月から中学校の教科書が全面的に改訂され、新しい学習指導要領による授業が開始されました。理科も教科書が大きく様変わりし、用語の追加や変更、新しい「電池」や「SDGs」のことなど、暗記の増加に加え、自ら思考する内容が盛りだくさん。
もっと詳しく知りたい!
>>2021年からの中学理科の変更点
中3理科の1分野
運動とエネルギー
みんな、運動は好きですか?
「走る」「跳ぶ」「投げる」「引っ張る」…、こういう運動にはいろんな“法則”っていうのがあって、それに従わなければなりません。
たとえば運動会で「綱引き」ってやったことがありますよね。綱引きは2チームに分かれて1本のロープをそれぞれ逆の方向引っ張る競技。
じゃあ、2チームの力の大きさが全く同じだったらどうなるでしょう?
そう!
ロープは全く動かない
このように、物体にいくつかの力がはたらいていて、その物体が静止して動かない時、これらの力は“つり合っている”といいます。
① 2つの力は同一線上にある
② 2つの力の向きは逆である
③ 2つの力の大きさは等しい
では上の3つの条件にあてはまらない場合はどうなるでしょう?
そういう場合は、2つの力を1つの力に置き換えたり(力の合成)、1つの力を複数の力に分けたり(力の分解)ができるのです。
【1分野】運動とエネルギー
①力の合成・力の分解
■ 力の合成
力を合成した時に出来た新しい力を「合力」といい、合力を求めることを「力の合成」といいます。
では次の3つの場合の力の合成を見てみましょう!
①直線上に同じ向きの力の合成
合力Fの大きさは、F1とF2の和になって、力の向きも同じになります。
②直線上に反対向きの力の合成
合力Fの大きさはF1とF2の差になって、力の向きはF1とF2の大きい方の向きと同じになります。
③直線上にない力の合成
直線上にない(角度を持つ)2つの力の合成は、それぞれの力を表す矢印を2辺とする平行四辺形の対角線となります。
■ 力の分解
1つの力を複数の力に分解して出来た力を「分力」といい、分力を求めることを「力の分解」といいます。
つまり、“力の分解”は“力の合成”と全く逆のやり方で求められます。
1つの力を2つの力に分解する組み合わせは無数にあるので、これを1組にするには、まずは1つの分力を定めます。
特に直線上にない(角度がある)力の分解は、作図の問題でテストに出るので、しっかり理解してください!
角度を持つ分力の作図
【1分野】運動とエネルギー
②運動の速さと向き
ここからは物体の運動の速さや向きがどんなときに変わるのかを「速くなる」「遅くなる」「変わらない」の3つのパターンに分けて学習していきます。
■ 速さが増加する運動
⦿ 斜面を下る運動
斜面上の物体には“斜面に平行な力”が下向きに働き続けているので、速さが時間とともに増加します。また、斜面の角度が大きいほど物体の速さの増え方が大きくなります。
たとえば自転車で下りの坂道でブレーキをかけないでいると、どんどん速くなりますよね!
このときには物体にはたらく力は「重力」と「抗力」がありますが、重力の分力である「斜面に垂直な分力」と「抗力」とがつり合って相殺されるので、斜面に平行な力のみがはたらき続けるので、速さは増加するというわけです。
⦿ 自由落下(自由落下運動、落下運動)
何にも触れずに垂直に落下している物体には重力がかかっています。
(重力の大きさは常に一定)
空気抵抗を無視した場合、落下中の物体は、運動の向き(下向き)にはたらく力と重力が等しくなるので、運動の向きにはたらく力が最大になります。
これを自由落下といい、速さは時間とともに増加(時間に比例して増加)します。
※自由落下は「自由落下運動、落下運動」とも言います。
■ 速さが減少する運動
⦿ 斜面をのぼる運動
斜面をのぼる運動は、運動の向きとは逆向きに重力の斜面に平行な力がはたらき続けるので、速さは次第に減少していきます。
例えば、自転車に乗っていて上り坂になっても同じ力でこいでいたら、スピードはどんどん遅くなりますよね!
⦿ 摩擦がはたらく運動
摩擦のある面での物体の運動は、動きとは反対方向に摩擦力がはたらくので、速さは次第に減少していきます。
摩擦力とは…?
物体同士が触れ合う面で、物体の運動を妨げるようにはたらく力
■ 速さが変わらない運動
⦿ 等速直線運動
摩擦力や空気抵抗のない平面上の物体はいつも同じ速さで一直線上を動き続けます。
※実際には摩擦力や空気抵抗が全くゼロの状態というのは地球上ではありえませんが、ここでは仮定として考えます。
このように速さが変わらずに一直線上を進む運動を“等速直線運動”といいます。
・同じ速さで一直線上を動く運動
・進んだ距離は時間に比例する
・力がつり合っているときにも起こる
⦿ 慣性の法則
たとえば、バスに乗っていて急ブレーキや急発進された時に、前方や後方に倒れそうになったことってありますよね。
こいうのを「慣性の法則」っていって物体の法則によるものなのです。
静止している物体や動いている物体には、その状態を続けようとする性質があり、この性質を“慣性”といいます。
物体は外から力が働かないかぎり、静止しているときは静止し続けようとし、運動している物体はいつまでも等速直線運動をし続けようとします。このことを“慣性の法則”といいます。
【1分野】運動とエネルギー
③仕事と仕事率
「仕事」って聞くと、働いてお給料をもらうことが頭に浮かびますよね。
理科でいう「仕事」というのは、物体に力を加えて力の向きに動かすことをいいます。
⦿ 仕事の単位
仕事の単位はジュール(J)を用います。
1N(ニュートン)の力で1m移動させる仕事が1Jです。
⦿ 仕事の求め方
仕事の大きさは、物体に加えた力の大きさと、動いた距離の積(かけ算)で表します。
仕事にもいくつか種類があるので、整理して理解しましょう!
■ 物体を持ち上げる仕事
物体を真上に持ち上げるには、物体にはたらく重力と同じ力を加えます。
■ 水平な台の上で物体を動かす仕事
擦のある水平面上で物体を動かす力は摩擦力と同じであるため、次のように求めます。
■ 仕事がゼロになる場合
物体に力を与えても物体が動かない時は、仕事の大きさはゼロになります。
(例)荷物を背負っているとき
垂直方向に動いている距離がゼロなので仕事もゼロになります。
(例)綱引きで全く動かない時
左右に動いている距離がゼロなので仕事もゼロになります。
理科でいう「仕事」について理解できましたか?
仕事は「物体の力×動いた距離」で求められるということを覚えておいてくださいね!
⦿ 仕事率について
ここでは先ほど説明した「仕事」に「率」が加わります。
仕事率の「率」っていうのは、効率や能率のこと。
物体の運動には“仕事のしやすさ(効率の良さ)”と“仕事のしづらさ(効率の悪さ)”があって、それを表すのを仕事率っていいます。
⦿ 仕事率の単位
仕事率の単位はワット(W)を用います。
1秒間に1Jの仕事をする仕事率が1Wです。
⦿ 仕事率の求め方
仕事率は「仕事(J)÷仕事にかかった時間(S)」で求めます。
※時間の単位は秒(S)
仕事は「物体の力×動いた距離」で表せましたが、仕事率はそれに加えて「時間」が関係してきます。
かかった時間が短いほど仕事率は良くなり(効率が良い)、時間が長いほど仕事率は悪く(効率が悪い)なります。
例えば、200gの物体を3m動かす場合の「仕事」は6Jです。
2(N)×3(m)=6(J)
※100gが1Nなので200gは2Nとなる。
この6Jの仕事を、3秒かけた場合と2秒かけた場合では仕事率はどうなるでしょうか?
【3秒かけた場合】
仕事率(W)= 6(J)÷ 3(S) 答え. 2W
【2秒かけた場合】
仕事率(W)= 6(J)÷ 2(S) 答え. 3W
6Jの仕事を…
3秒かけた場合の仕事率は2W。
2秒かけた場合の仕事率は3W。
かけた時間が短い方の仕事率が高いので、効率が良いということになります。
ではここで問題!
<解説>
まずは「仕事」を求めますが、単位に気を付けてください!
5kgをN(ニュートン)に直すと50Nになります。
100g=1Nなので、5kgを5000gに単位を変えて、5000g=50Nとなりますね。
↑こいつにあてはめると…
仕事(J)=50(N)×1.5(m)
仕事(J)=75(J)
これで仕事の大きさは75Jとなりました。
次に仕事率(W)を求めます。
↑こいつにあてはめると…
仕事率(W)=75(J)÷5(S)
仕事率(W)=15(W)
これで仕事率が15Wとなりました。
答え. 仕事=75J、仕事率=15W
仕事と仕事率の計算問題はテストでもバンバン出るので、何度も練習して理解してくださいね!
【1分野】運動とエネルギー
④仕事の原理
ここでは「斜面や道具を使っても仕事の大きさは変わらない」という“仕事の原理”を学習します。
⦿ 斜面を使ったときの仕事
斜面を使ってモノを引き上げると、直接真上に引き上げるときと比べて小さい力で引き上げることができます。
しかし斜面を使うと、引き上げるまでの距離が長くなるので、斜面を使っても使わなくても仕事の大きさは同じになります。
⦿ 動滑車を使ったときの仕事
動滑車を使ってモノを引き上げるときの力の大きさは、物体にはたらく重力の2分の1(滑車が1つの場合)になります。
しかし、ひもを引く距離も2倍になるので、動滑車を使っても使わなくても仕事の大きさは同じになります。
⦿ てこを使ったときの仕事
てこを使ってモノを持ち上げると、使わない時よりも小さい力で持ち上げることができます。これを「てこの原理」といいます。
てこの原理によって小さい力で引き上げることができますが、その分長い距離を持ち上げなければならないので、てこを使っても使わなくても仕事の大きさは同じになります。
このように、傾斜や滑車、てこを使うと、小さな力で物体を引き上げることができますが、動かす距離が長くなるので、仕事の大きさは変わらないことを「仕事の原理」といいます。
※ただし、摩擦があるときは仕事の原理が成り立たなくなるので、ここでは摩擦を無視して考えます。
【1分野】運動とエネルギー
⑤物体が持つエネルギー
エネルギーってよく耳にしますよね。
モノを動かしたり、壊したり、変形させたり、熱を出したり、電流などを出したりする能力を「エネルギー」っていいます。
理科でいう「エネルギー」というのは、仕事をすることができる能力ともいえます。
■ エネルギーの単位
エネルギーの単位はジュール(J)を用います。
仕事の単位も同じジュール(J)でしたね。
たとえば10ジュールの仕事には10ジュールのエネルギーが必要となります。
このように仕事とそれに対するエネルギーはイコールになるため、単位も同じ「ジュール(J)」となるのです。
⦿ 位置エネルギー
高い所にある物体がもっているエネルギーを「位置エネルギー」といいます。
こいつは「物体の重さ(N)×高さ(m)」で表します。
たとえば、鉄のかたまりをマンション5階のベランダから落として、落下地点に車があったらどうなるでしょう?車は壊れますよね…。
※絶対に実験しないでね!
高いところにある物体には下にあるモノを破壊できるエネルギーがあります。
この破壊力は、物体の質量と物体の位置(高さ)によって変わります。
鉄のかたまりをもっと重くしたり(=量を増やす)、マンションの5階を10階にかえたり(=位置を高くする)すると破壊力がさらにアップします。
物質の位置(高さ)によって決まるエネルギーを「位置エネルギー」といい、位置エネルギーは質量にも比例し、高さにも比例します。
位置エネルギーの公式
この公式は使えるようにしてください!
⦿ 運動エネルギー
動いている物体が持つエネルギーを「運動エネルギー」といいます。
こいつは、質量に比例し、速さの2乗に比例します。
※速さの2乗に比例するというのは、速さが2倍・3倍・4倍…となると、運動エネルギーは、4倍・9倍・16倍…になるということです。増え方がハンパないですね!
たとえば走っている車が壁に衝突したらどうなるでしょう…?
壁は壊れますよね。(車も壊れます…)
では、小さい軽自動車と大きいトラックの場合では、トラックのほうのダメージが大きいですよね。
時速10kmと時速30kmでは、当然、時速30kmのほうのダメージが大きいです。
運動エネルギーも、物体の質量が大きいほど、物体の速度が速いほど、エネルギーが大きくなります。位置エネルギーと似ていますね。
運動エネルギーの公式
少しややこしいけど、この公式もしっかり覚えてください!
⦿ 力学的エネルギー
位置エネルギーと運動エネルギーを合わせた合計を「力学的エネルギー」といいます。
位置エネルギーは「位置」、運動エネルギーは「動きの速さ」で考えました。
力学的エネルギーは「位置」と「動きの速さ」の合計で表します。
教科書にも載っている“振り子”でイメージするとわかりやすいですね。
左右に行ったり来たりする振り子は、おもりが低い位置だと速くなり、高い位置だと遅くなります。
これは、位置エネルギーが小さい(低い位置)ほど運動エネルギーが大きく(速く)なり、位置エネルギーが大きい(高い位置)ほど運動エネルギーが小さく(遅く)なるということです。
⦿ 力学的エネルギー保存の法則
力学的エネルギーが位置エネルギーと運動エネルギーの和であることから、摩擦や空気の抵抗などがなければ力学的エネルギーはいつも一定に保たれています。
これを「力学的エネルギー保存の法則」といいます。
以上で「運動とエネルギー」の分野はおしまいです。
力や運動、仕事について学びましたが、いかがでしたか?
ここでは超基本的なことだけをまとめてあるので、学校のワークを何度も解いて、しっかり自分のモノにしてくださいね。
中3理科の1分野
化学変化とイオン
この単元は中1の「身のまわりの物質」、中2の「化学変化と原子・分子」の続きです。
特に原子や分子の基本があやふやだと大変なので、苦手な子は早めに戻り学習をしてくださいね。
【1分野】化学変化とイオン
①水溶液とイオン
ここでは「イオン」っていうのがどんなモノかを勉強します。身近でイオンを使っているモノってどんなものがあるでしょう?
マイナスイオンが出る電化製品があったり、スポーツ飲料の成分表示を見ると色んな種類のイオンが入っていることがわかります。「イオン温泉」なんていうのも登場しています。
「イオン」って耳にしたことはあると思いますが、その正体って何でしょうか???
⦿ 水溶液の電気伝導性
イオンのことを説明する前に「水溶液」について。
水溶液には、電気が流れる水溶液と電気が流れない水溶液があります。
電気が流れる水溶液には電解質という物質が溶けていて、電気が流れない水溶液には非電解質という物質が溶けています。
塩化ナトリウム(食塩)、塩化水素、塩化銅、水酸化ナトリウムなど
エタノール、砂糖など
食塩水、うすい塩酸、
水酸化ナトリウム水溶液など
精製水、砂糖水、エタノール水溶液など
塩化ナトリウム(食塩)、塩化水素、塩化銅、水酸化ナトリウムなど
エタノール、砂糖など
食塩水、うすい塩酸、
水酸化ナトリウム水溶液など
精製水、砂糖水、
エタノール水溶液など
⦿ 原子の構造
イオンを理解する上では「原子の構造」を知ることがとっても大切です。
中学2年生で、物質の最小単位のことを“原子”って習いました。
原子にはその中心に“原子核”があって、そのまわりを“電子”が回っています。
電子の数と陽子の数は同じです。
ということは…
原子全体は電気的に中性になっています!
原子核はプラスで原子は中性…
名前が似ていてややこしいですね。
⦿ イオンについて
お待たせしました!いよいよ「イオン」についての説明です。
原子は普段、原子核の中にある陽子のプラスの数と、電子のマイナスの数が同じで、電気的に中性を保っていることをやりましたね。
電気的に中性を保っている原子は、電子を失ったり受け取ったりすることで、プラスの電気を帯びたり、マイナスの電気を帯びたりすることがあります。
この状態になった原子を「イオン」っていいます!
電子を失ったり受け取ったりすることで原子が電気を帯びたもの
■ 陽イオンと陰イオン
電子を失うとプラスの電気を帯びた原子となります。
これを陽イオンといいます。
電子を1個失うと1価の陽イオンに、2個失うと2価の陽イオンになります。
電子を受け取るとマイナスの電気を帯びた原子となります。
これを陰イオンといいます。
電子を1個受け取ると1価の陰イオンに、2個失うと2価の陰イオンになります。
⦿ イオン式
イオンを記号で表すには、イオンになった原子の右上に陽イオンなら「+」、陰イオンなら「-」をつけます。
また+や-の前に数字を書くものもあります。
これをイオン式といいます。
※塩素のイオンは「塩化物イオン」です。
「塩素イオン」ではないので要注意!
主なイオンの種類とイオン式
↑↑こいつは丸暗記!!!
⦿ 電離
電解質の水溶液には、イオンがたくさん含まれています。
例えば、塩化ナトリウムNaClを水に溶かすと、ナトリウム原子がナトリウムイオン\(Na^+\)に、塩素原子が塩化物イオン\(Cl^-\)に分かれて存在しています。
このように、電解質が水に溶けて水溶液中で陽イオンと陰イオンに分かれることを“電離”といいます。
⦿ 電離式
電離の様子を式に表したものを「電離式」といいます。
電離式の形は、左辺に化学式、右辺にイオン式を書きます。
先ほどの「塩化ナトリウムの電離」を電離式に表すとこうなります。
では、塩化銅を水に溶かしたときの電離式を作ってみましょう!
ここでの考え方は、中2で習った化学反応式と同じです。化学反応式は化学式を覚えた上で、左辺と右辺の原子の数を合わせましたよね。
その時に原子記号の右下にある数字は変えてはいけませんでした。
そのことを思い出しながら、塩化銅の電離式をやってみましょう!
塩化銅の化学式は \(CuCl_2\)です。
塩化銅を水に溶かすと、銅原子が銅イオン(\(Cu^{2+}\))、塩素原子が塩化物イオン(\(Cl^−\))になって電離します。
このまま式に表すとこうなります。
これだと、左辺の数と右辺の数が合いません。
Cuは左辺も右辺も同じ1個ですが、Clは左辺が2個で右辺が1個です。
※右上の数字は個数ではないので注意!
では原子の数を合わせますが、右下の数字と右上の数字は絶対に変えてはいけません!
(ここが化学反応式と同じ考え方)
では、右辺の \(Cl^−\) の個数を左辺と同じ数にするために、\(Cl^−\)の前に「2」をつけます。
これで左辺と右辺の原子の個数が合いました。
化学反応式では、化学式を覚えた上で式をつくりましたが、電離式もイオン式を覚えた上で式をつくる必要があります。
電離式も左辺と右辺の原子数を揃えるのを忘れないで下さい。
主な電離式
※電離式は丸暗記ではなく理解して自分で式を作れるようにしてください!
※イオン式は丸暗記です!
【1分野】化学変化とイオン
②酸・アルカリとイオン
水溶液には、酸性・アルカリ性・中性の3つの性質があります。
ここでは酸性・アルカリ性の性質を詳しく勉強していきます。
⦿「酸」について
水溶液にしたとき、水素イオン(\(H^+\))が生じる化合物を「酸」といいます。
酸はこのように電離します。
■ 酸性水溶液の特徴と例
・青色リトマス紙を赤色に変える
・BTB溶液を黄色に変える
・pH試験紙につけると黄色~赤色になる
・すっぱい味がする(舐めてはダメ!)
・亜鉛など溶けやすい金属と反応して水素を発生する
塩酸 \(HCl\) 硫酸 \(H_2SO_4\)
酢酸 \(CH_3COOH\) など。
⦿「アルカリ」について
水溶液にしたとき、水酸化イオン(\(OH^−\))が生じる化合物を「アルカリ」といいます。
アルカリはこのように電離します。
■ アルカリ性水溶液の特徴と例
・青色リトマス紙を青色に変える
・BTB溶液を青色に変える
・pH試験紙につけると青色になる
・フェノールフタレイン溶液を赤色に変える
・苦味があり(でも舐めてはダメ!)指につくとぬるぬるする
水酸化ナトリウム \(NaOH\)、
水酸化カルシウム\(Ca(OH)_2\)、
アンモニア水 \(NH_3\)など
※pHの値について
水溶液の酸性、アルカリ性の程度を示すのに、pH(ピーエイチまたはペーハー)がよく用いられます。
pHは0~14までの数値があり、7が中性で、7より小さくなればなるほど酸性が強くなり、7より大きくなればなるほどアルカリ性が強くなります。
< 身近なモノのpH >
食酢…2.4~3.0
ビール…3~4
水道水…5.8~8.6
海水…8.2
【1分野】化学変化とイオン
③中性と中和
ここでは「中性」と「中和」について詳しく見ていきます。
特に「中和」はとってもややこしく、電離式がわからないとキツイので、しっかりついてきてください!
⦿「中性」について
酸性でもアルカリ性でもない性質を「中性」っていいます。
先ほど出てきたpHが7だと中性ですね。
もっと詳しく言えば、酸性を示す水素イオン \(H^+\)も、アルカリ性を示す水酸化物イオン \(OH^−\)も、どちらも含まれていない性質が「中性」です。
次に出てくる「中和」とは、とっても似ているけど全然意味がちがうので注意してください。
⦿「中和」について
酸性の溶液とアルカリ性の溶液を混ぜたらどうなるでしょう?
実は、酸とアルカリはお互いに打ち消し合う性質を持っています。
例えば、塩酸(酸性)に水酸化ナトリウム水溶液(アルカリ性)を少しずつ加えていくと、あるところで溶液が食塩水に変わります。
食塩水っていうのは、水と塩(※)ですね。
このように、水素イオンとアルカリ性イオンが結びついて水と塩(※)が出来る反応を中和といいます。
中和によって出来る物質のなかで水以外の物質をすべて「塩」といいます。
「塩」は「えん」と読みます!
「しお」ではないので注意!
ここでの「塩(えん)」は食塩のことではありません。
では「中和のしくみ」を見ていきましょう。
■ 酸とアルカリの正体
まずは、塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を例に、酸とアルカリの正体を見ていきます。
酸の正体は\(\textcolor{red}{H^+}\) アルカリの正体は\(\textcolor{red}{OH^−}\)
水溶液の中の\(H^+\)と\(OH^−\)が反応して、水(\(H_2O\))が出来ます。
\(H^+\)と\(OH^−\)が同数だった場合は、\(H^+\)も\(OH^−\)もなくなるので「中性」となります。
■ 中和反応
塩酸(HCl)に水酸化ナトリウム水溶液(NaOH)を加えていくときの変化を見てみましょう!
①塩化水素が電離
\(HCl→H^++Cl^−\)
②水酸化ナトリウムが電離
\(NaOH→Na^++OH^−\)
③電離した塩化水素と水酸化ナトリウムを混ぜると…
\((H^++Cl^−)+(Na^++OH^−)→\textcolor{red}{NaCl}+\textcolor{red}{H_2O}\)
④電離する前の状態で反応式を書くと…
\(HCl+NaOH→\textcolor{red}{NaCl}+\textcolor{red}{H_2O}\)
\(NaCl\)は塩化ナトリウム、\(H_2O\)は水ですね。
※塩化ナトリウムは塩(しお)ですが、ここでは塩(えん)といいます。中和によって出来た水以外の物質を塩(えん)と呼ぶからです。
このように、塩酸に水酸化ナトリウム水溶液を加えると、水と塩(えん)ができました。
これが中和です!
もうひとつ中和反応の例
硫酸\(H_2SO_4\)に水酸化バリウム水溶液\(Ba(OH)_2\)を加えると、硫酸バリウム\(BaSO_4\)という塩(えん)と、水\(H_2O\)ができます。
では、硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和反応を見てみましょう。
①硫酸が電離
\(H_2SO_4→2H^++SO_4^{2-}\)
②水酸化バリウムの電離
\(Ba(OH)_2→Ba^{2+}+2OH^-\)
③電離した硫酸と水酸化バリウムを混ぜると…
\((2H^++SO_4^{2-})+(Ba^{2+}+2OH^−)→\textcolor{red}{BaSO_4}+\textcolor{red}{2H_2O}\)
④電離する前の状態で反応式を書くと…
\(H_2SO_4+Ba(OH)_2→\textcolor{red}{BaSO_4}+\textcolor{red}{2H_2O}\)
硫酸バリウム\(BaSO_4\)という塩(えん)と、水\(H_2O\)ができましたね。
※ちなみに硫酸バリウムは水に溶けにくい塩(えん)なので、硫酸バリウム水溶液は白く濁っています。
<中性と中和のちがい>
中和…水素イオンとアルカリ性イオンが結びついて、水と塩(えん)が出来る反応
中和によって中性になることもありますが、それは\(H^+\)と\(OH^−\)が同数だった場合のみです。
中和によって中性になるとは限らないので、この辺りはややこしいですがしっかり理解してください、
中3理科の1分野
エネルギーとその変換
「運動とエネルギー」の単元では、力学的エネルギーについて勉強しましたよね。
力学的エネルギーは位置エネルギーと運動エネルギーの合計のことでした。
エネルギーには、力学的エネルギーの他にもいろいろな種類のエネルギーがあるのですよ。
【1分野】エネルギーとその変換
①色々なエネルギー
■ 熱エネルギー
■ 電気エネルギー
■ 光エネルギー
■ 音エネルギー
■ 化学エネルギー
■ 核エネルギー
⦿ エネルギ-保存の法則
上で紹介したさまざまなエネルギーは、たがいに変換することで日常生活に利用されています。
エネルギーの変換ではどのような変化でもエネルギーの総量は変わりません。
これを「エネルギー保存の法則」といいます。
しかし、エネルギーが他のエネルギーに変換されるときに、100%が目的のエネルギーに変わるわけではありません。
蛍光灯は電気エネルギーを光エネルギーに変換しているけど、電気エネルギーが100%光エネルギーになるわけではなくて、だいたい20%~25%程度が光エネルギーになって残りは熱エネルギーなどに変わってしまいます。蛍光灯をしばらくつけておくと暖かくなるのはそういう理由なのです。
【1分野】エネルギーとその変換
②熱の伝わり方
ものが暖かくなるっていうのは、そこに熱エネルギーが溜まっているとも言い換えることができます。
そして、熱には他のものや場所に伝わる性質を持っているのです。
熱の伝わり方には伝導、対流、放射と3通りがあります。
⦿ 伝導(熱伝導)
熱いスープの入ったカップの中に金属製のスプーンを入れておくと、だんだんと持ち手の部分も熱くなります。
これは熱がスプーンの中を温度の高い方から低い方へ伝わるからです。
このように熱が物体を伝わっていく現象を伝導(熱伝導)といいます。
⦿ 対流(熱対流)
水を入れたビーカーの底を熱すると、やがて全体が暖かくなりますよね。
液体や気体は温度が高くなると上昇し、周りの温度が低い部分が下降するので、全体としてグルグル上下に回るような動き(循環)をします。
この、循環によって熱が全体に移動するような熱の伝わり方を対流(熱対流)といいます。
⦿ 放射(熱放射)
ストーブの近くで手をかざすと暖かくなりますよね。
ストーブに直接触っていないので、伝導ではないし、温められた空気は上昇するので対流でもありません。
これは温度の高い物体から熱が空間を通って直接伝わる方法で放射(熱放射)といいます。
【1分野】エネルギーとその変換
③エネルギー資源と発電方法
20世紀から21世紀にかけて私たち人類は石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料を大量に消費して発展してきました。
でも地球上にある化石燃料には限りがあって、このペースで使用し続ければ約50年ほどで使い切ってしまうというデータもあります。
だから私たちは化石燃料に変わるエネルギー資源を考える必要があるのです。
では色々な発電方法の長所と短所を見てみましょう。
<主な発電方法>
⦿ 水力発電
ダムに溜めた大量な水を落下させて発電機を回す方法。
短所:ダムの建設場所が限られ生態系に影響を与えてしまう。設備の割に発電量が少なく、山岳部から市街地までの送電距離が長くなる。
⦿ 火力発電
化石燃料を燃やして得た高温・高圧の水蒸気で発電機を回す方法。
短所:化石燃料に限りがあり大量の二酸化炭素を排出するため環境への影響が大きい。また日本は化石燃料のほとんどを輸入に頼っている。
⦿ 原子力発電
ウランなどの原子の核が分裂するときにだす核エネルギーを熱エネルギーとして取り出し、発電機を回す方法。
短所:ウランにも限りがあり、放射線が放出される危険性や使用済み核燃料の廃棄処理の問題がある。
⦿ 太陽光発電
太陽の光エネルギーを光電池により電気に変える。
短所:発電量が小さく、昼夜・天候により発電量が左右される。
⦿ 風力発電
風によって羽を回転させ、その回転によって発電機で電気に変える。
短所:発電量が小さく、自然条件によって発電量が左右される。
⦿ 地熱発電
マグマが持っている熱エネルギーを利用して、地下から吹き上がる水蒸気で発電機を回す。
短所:適している場所が国立・国定公園の中のため、周辺への環境に配慮が必要。
この単元では、エネルギーの種類や発電方法をやりましたが、暗記の要素が強いのでしっかり覚えてください。
発電方法の長所と短所はテストでも出やすいので確実に理解しましょう!
中3理科の2分野
生物のふえ方
わたしたちの体は、細胞一つ一つが集まって出来ていることを学習しましたね。
生物が成長するとき、細胞にはどのような変化があるのでしょうか。
ここでは、動物のふえ方や、植物のふえ方、テレビでもよく聞くDNA、遺伝のしくみなどについて学習していきます。
少し難しい言葉もいくつか出てきますが、ゆっくりかみしめて理解をふかめていきましょうね!!
【2分野】生物のふえ方
①分裂と生殖
植物も動物もすべての生物の体は、細胞とよばれる小さな部屋のようなものがたくさん集まってできています。
生物の体をつくりだす一番小さなものが細胞なのです。
私たちヒトは多細胞生物なので、約60兆個もの細胞が集まって個体が作られています。
ですが、どんな生物ももともとは1つの受精卵から始まっています。
どのように60兆個もの細胞ができたのかというと、細胞分裂で細胞の数をふやしてきたからなのです。
⦿ 細胞分裂
一つの細胞が2つに分かれることを細胞分裂といいます。
生物の体は、細胞分裂によってふえた細胞が大きくなることで成長しています。
ソラマメの根の細胞を見てみると、根の先端に近くなるにつれて細胞は細かくなっていますよね。
この先端近くの細胞が体積を大きくすることで、一つ一つの細胞が大きくなり成長しているのです。
細胞分裂は、植物ではおもに根や茎の先端近くでさかんに行われています。
その部分を成長点といいます。
【体細胞分裂】
生物には、生殖(せいしょく)にかかわる特別な生殖細胞(卵や精子)と、それ以外の細胞である体細胞の2種類に分けられます。
体細胞で行われる普通の細胞分裂を体細胞分裂といいます。
<染色体>
細胞分裂で核に現れるひものようなもの
数は生物の種類によって決まっている
⦿ 無性生殖と有性生殖
生物は子を作って命をつないでいきます。このはたらきを生殖(せいしょく)といいます。
雄雌(しゆう:オスとメスのこと)に関わりなく親の体の一部が分かれて新しい個体ができるふえ方を無性生殖といいます。
多くの単細胞生物やヒドラ(小さなイソギンチャクの仲間)やプラナリア(きれいな川や池などにすむ生物)のような動物の他に、植物にも無性生殖でふえていくものがあります。
植物において葉・茎・根の一部から新しい個体を作る無性生殖を栄養生殖といいます。ジャガイモのいも、さし木、オランダイチゴなどがあります。
例えば、ジャガイモのいもは、土に植えておくと、芽を出して葉・茎・根がそろいますよね。さし木は、ふやしたい個体の枝を切り離して土などにさして根を出させ、葉・茎・根のそろった完全な植物体になります。
このような方法は、農業や園芸などで広く用いられていますね!!
⦿ 動物の有性生殖
多くの動物には雌雄の区別があります。オスとメスが関わって子を残すふえ方を有性生殖といいます。
有性生殖は、染色体の数が半分になる減数分裂で生殖細胞をつくります。
この生殖細胞の核(雌の卵巣で作られた卵の核と雄の精巣で作られた精子の核)が受精(合体)することで新しい命へとつなげていきます。
この受精によってできた新しい細胞を受精卵といいます。受精卵は、体細胞分裂を繰り返して胚(はい)になり、さらに分裂して親とおなじからだの作りができていきます(成体)。
この受精卵から一つのからだが作られるまでの過程を発生といいます。
⦿ 植物の有性生殖
中1理科では、被子植物のおしべのやくから出た花粉がめしべの柱頭につく(受粉)と、やがて子房の中の胚珠が種子になることを学習しましたね。
めしべの柱頭に花粉がつくと、子房の中の胚珠に向かって花粉管がのびます。
花粉の中には雄の生殖細胞の精細胞がつくられ、胚珠の中には雌の生殖細胞の卵細胞がつくられます。
精細胞は、花粉管の中を通って胚珠に向かいます。
胚珠の中の卵細胞の核と精細胞の核が受精(合体)することで受精卵ができます。
この受精卵は体細胞分裂を繰り返して胚になり、胚珠は種子になり、子房は果実になります。
植物の場合も、受精卵が成長していく過程を発生というのですよ。
こうして種子が発芽すると、葉・茎・根を持つ体に成長して、親と同じような植物のカラダができるのですね。
■ 生殖のまとめ
< 生殖 >
生殖…生物が自分とおなじ種類の新しい個体をつくるはたらき
生殖細胞…生殖を行うための細胞
・動物の生殖細胞:精子と卵
・植物の生殖細胞:精細胞と卵細胞
有性生殖…雌(めす)と雄(おす)の生殖細胞の核が合体して新しい個体をつくりふやすこと
無性生殖…雌と雄のかかわりによらず、親のカラダが分裂したり一部が分かれて新しい個体をつくりふやすこと
< 有性生殖 >
受精…卵(卵細胞)に精子(精細胞)が入り、それぞれの核が合体すること
受精卵…受精によってできた新しい細胞
胚(はい)…受精卵が体細胞分裂をしてできるもの
発生…受精卵から成体(親とおなじカラダ)になるまでの成長過程
減数分裂…生殖細胞がつくられるときに行われる細胞分裂。染色体の数が半分になる。
< 植物の有性生殖 >
花粉管…花粉が柱頭についたときにのばす管
精細胞…花粉の中につくられる雄(おす)の生殖細胞
卵細胞…胚珠の中につくられる雌(めす)の生殖細胞
【2分野】生物のふえ方
②遺伝
ここでは、遺伝の規則性と遺伝子の正体について見ていきます。
遺伝子が親から子へ、子から親へ、どのように伝わるのか、そもそも遺伝子とはどのようなものなのか、出てくる用語をひとつひとつおさえていきましょう!
⦿ 遺伝の規則性
生物が子を残すとき、親のもつ様々な特徴が子に伝わります。このように、生物のもつ形や性質の特徴を形質といいます。
背が高かったり低かったり、髪の色が親とおなじであることも、この形質によるものです。
また、親とおなじ形質が子や孫など、次の世代に現れることを遺伝といいます。
遺伝するそれぞれの形質のもとになるものを遺伝子といいます。この遺伝子は、形質を現すもとになるものです。
核の中の染色体に情報としてふくまれていて、遺伝子は対になって存在しています。
これが子に伝わることで、生物の形質が受け継がれていくのですね。
■ 遺伝のまとめ
< 植物の遺伝の規則性 >
自家受粉…ある植物の花のめしべに、おなじ個体の花粉がつくこと
純系…自家受粉によって親、子、孫と代を重ねても親とおなじ形質しか現れないこと
< 遺伝の規則性 >
対立形質…種子の形の「丸」と「しわ」のように、ある1つの形質について同時に現れない形質が2つ存在するときの形質
優性の法則…対立形質をもつ純系どうしをかけ合わせたとき、子が親のいずれか定まった一方とおなじ形質を現すこと
優性形質…しわのある種子のように子に現れる形質
劣性形質…しわのある種子のように子に現れない形質
分離の法則…減数分裂の結果、対になっている遺伝子が分かれて別々の生殖細胞に入ること
優性形質を現す純系と劣性形質を現す純系とのかけ合わせによって生まれた子は、すべて優性形質を現します。
子どうしのかけ合わせから生まれた孫は、優性形質を現すものと劣性形質を現すものとの割合が約3:1になります。
⦿ 遺伝子の本体
遺伝子は一般的に変化せず伝わります。
ですが、不変なものではなく、まれに変化し形質が変化することがあります。
突然変異といって、染色体やDNAに変化が生じることもあるのですよ。
DNA(デオキシリボ核酸)…形質のもとになっている遺伝子の本体
純系…自家受粉によって親、子、孫と代を重ねても親とおなじ形質しか現れないこと
いかがでしたか?
ここまでで生物の分裂、生殖、遺伝の規則性や遺伝子の正体などを詳しく見てきました。
生物がどのように成長していくのか、動物、植物、それぞれの有性生殖のふえ方もわかりましたね。
特に細胞分裂や生殖、遺伝の形質や法則はとっても重要になりますよ!
学校の授業で出てくるところや重要といわれるところもしっかり聞いて、要点をおさえていきましょう!!
中3理科の2分野
宇宙と天体
星座の明るさや太陽と月の違いなど、小学校では少し天体の特徴について学習しましたね。
私たちが地球上でおもに昼に見る太陽、夜に見る月は、地球の外側、宇宙にあります。
太陽、月、地球、様々な星たち…、
宇宙には沢山の天体がありますね。
地球の外側にある世界がどのようになっているのか、など、惑星や太陽の特徴についても詳しくご紹介していきます!
まずは、太陽の周りを回る天体から!!
【2分野】宇宙と天体
①地球と天体
⦿ 太陽の周りの天体
地球やそのほかの惑星は、太陽のまわりを一周しています。
この運動を公転といいます。
太陽の周りをベルトが取り囲むように、道路があると想像してみてね。
その道路をボール(地球などの惑星)がコロコロころがるように公転します。ボール自体が回転する(自転)方向も公転とおなじ反時計回りになるのですよ。
天体は、ある一つの天体の周りを回る(公転する)だけでなく、その天体自体も回転しています。
地球は北極と南極を結ぶ軸(地軸)を中心に、1日に一回、回転しています。
この運動を自転といいます。
太陽や地球など、その天体自体が回転することを自転といいます。
自転によって太陽に照らされる場所と影になる場所が出るので、各地に昼と夜ができるのです。
公転・自転ともに、北極側から見ると反時計回りです。
地球は、公転も自転も回転する方向が一緒なのですね!
宇宙にある星には、大きくわけて恒星、惑星、衛星があります。
この3つをわかりやすく家族に例えると、恒星が親、惑星が子、衛星が孫になります。
★恒星(こうせい):親
太陽や星座の星のように、自ら光を放つ天体を恒星といいます。眩しい「太陽」は恒星ですが、夜に輝く「月」は太陽の光で輝いて見えるだけで自らで光っているのではないので恒星ではありません。
太陽以外の恒星である星座の星は、太陽系の外にあります。
恒星の明るさは様々で、太陽は-26.7等級です。太陽以外でもっとも明るく見える恒星は、おおいぬ座のシリウスで、-1.5等級です。
暗い恒星は無数にありますが、肉眼で見えるもっとも暗い恒星の明るさは6等星程度までなのです。
※6等星は6等級の明るさの恒星
地球から見える恒星の明るさは、恒星が出す光の量だけでなく、地球からの距離によっても変わります。
地球から恒星までの距離はとっても遠いので、光が1年間に進む距離を単位とした光年で表します。
★惑星(わくせい):子
太陽系の天体のうち、太陽に近いものから、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8個を惑星といいます。
※太陽とそのまわりを公転する天体をまとめて太陽系といいます。
以前、太陽系の惑星の数は、冥王星をふくめた9つでしたが、2006年8月に惑星に関する新たな定義が決まり、現在の8つになりました。
惑星の中でも、地球型惑星と木星型惑星の2つに大きくわかれます。
★地球型惑星★表面は岩石、内部は金属でできていて、平均密度が大きい。
軽い物質でできていて、平均密度が小さい。
リングと多くの衛星をもつ。
太陽に近い惑星と、太陽から遠い惑星では、半径、質量、密度に大きく違いがでてきます。
月は地球の周りを回っているので、金星→月→地球の並びの時と、金星→地球→月のならびになる時がありますね。
★衛星(えいせい):孫
惑星の周りを公転しているのが衛星です。月は、地球(惑星)の周りを公転しているので衛星の仲間なのですね。
月の光は自ら放っているものではなく、太陽の光を反射して輝いているものなのです。
ほかにも、火星や土星などにも衛星はたくさんあるので、もっと詳しく知りたいときは自分で調べてみてくださいね。
"木星の衛星″などで検索してみると出てきますよ!
★太陽系の小天体
太陽のまわりを回る天体には、惑星と衛星以外にも小さな小惑星や、氷やちりが集まってできたすい星、海王星の外側を公転する太陽系外縁天体などがあります。
すい星の軌道には、放出されたちりが多数残っていて、これが地球の大気と衝突(しょうとつ)、摩擦で光り、流星(流れ星)として観測できます。
太陽系外縁天体には、冥王星もふくまれます。
⦿ 太陽と銀河系
★太陽
みなさん、知っていましたか?
太陽は月や地球とは違い、表面が岩石でできているのではなく、気体でできているんです。
太陽は太陽系でたった一つの恒星で、ガスのかたまりでできています。また、恒星の中でも唯一表面の様子を直接観察することができます。
表面には黒い斑点(はんてん)の黒点(こくてん)が見られます。
外側にはプロミネンス(紅炎)といわれる炎のようなガスの動きやコロナとよばれる太陽を取り巻く高温のガスの層があるんです。
★銀河系と銀河
太陽系をふくむ多数の恒星などの集まりを銀河系といい、銀河系より外側にあり、無数にある銀河系のような恒星の集まりを銀河といいます。
■ 地球と天体のまとめ
公転…特定の天体のまわりを1年かけて一周する運動
自転…地軸を中心に、1日に一回、回転する運動
恒星…太陽や星座の星のように、自ら光を放つ天体
惑星…太陽とそのまわりを公転する天体たち
衛星…惑星の周りを公転している天体
地球型惑星…水星・金星・地球・火星の4つ。表面は岩石、内部は金属でできていて、平均密度が大きい。
木星型惑星…木星・土星・天王星・海王星の4つ。軽い物質でできていて、平均密度が小さい。リングと多くの衛星をもつ。
光年…光が1年間に進む距離の単位
銀河系…太陽系をふくむ多数の恒星などの集まり
銀河…銀河系より外側にあり、無数にある銀河系のような恒星の集団
【2分野】宇宙と天体
②太陽と恒星
⦿ 天体の動き
プラネタリウムを見に行ったことはありますか?丸いドームの建物の中に入ると、夜空にたくさんのキラキラ輝いた星たちを見られますね。
これらの星や太陽は、自転する地球から見ると、東から西に動いているように見えます。
天体の動きをわかりやすくとらえるために考えられた、空を球状に表した仮想の球体を天球といいます。
天体の位置をこの天球上に表すことで分かりやすくしています。透明半球やプラネタリウムは、実際に存在する天球のモデルなのですよ。
この太陽の一日の動きは、地球の自転による見かけの動きで、太陽も星も日周運動といいます。地球が一日に1回、西から東へ自転することによって、太陽や星が東から西へ動いていくように見えるのです。
太陽は一日で天球を1周します。
⦿ 太陽と星座
太陽とおなじで、星の動きも天球を使って調べることができます。
星の動きをしばらく観測すると、星座の形は変わらずに時間とともに動いていくのがわかるのです。
地球の自転によって、日周運動が見られますが、地球の公転によっても、太陽の一年間の動きが見られるのですよ。
地球は太陽の回りを公転しているので、地球からみた太陽と星座の方向は少しずつ変わっていきます。
実際は、地球が太陽の周りを公転していて、星は動かないのですが、地球から見たときに、太陽や星が地球の周りを一周しているようにみえます。
太陽の日周運動に対して、星のこの運動を年周運動といいます。
地球が太陽の周りを公転することで、太陽が星座の間を動いていくように見える道を黄道(こうどう)といいます。
星座の帯の中にある太陽の通り道のことです。この黄道上の太陽は、一年かけて夜空を動いていきます。
また、この星座の帯には、わたしたちの生まれ月の12星座が並んでいて、黄道一二星座とよばれています。
星占いでも使われる12星座ですね。
⦿ 太陽と地球
太陽は、季節によって南中高度(太陽が真南にきたときの高さ)が変化します。
これは、公転面に垂直な方向に対して地軸(北極と南極を結ぶ線)が約23.4°傾いたまま自転・公転しているからなんです。
※地球の向きや位置は、自転・公転によって変わりますが、地軸の傾きは変わりません。
地球は、公転面に対して傾いた地軸を中心として自転しています。
■ 太陽と恒星のまとめ
天球…空を球状に表した仮想の球体。天体の位置や動きをわかりやすく示すためのもの
南中…太陽や星が真南の空にきたとき
南中高度…太陽や星が真南にきたときの高さ
日周運動…地球が一日に1回、西から東へ自転することで太陽が東から西へ動いていくように見える動き
年周運動…地球の公転によって、星が西へ動いて一年で一周してみえる動き
黄道…地球が太陽の周りを公転することで、太陽が星座の間を動いていくように見える道
地軸…地球が太陽の周りを公転することで、太陽が星座の間を動いていくように見える道
【2分野】宇宙と天体
③月と金星
⦿ 月の動き
月は地球の衛星で、太陽の光を反射して輝いています。
地球から見えるわたしたちが見ている月は、三日月、半月、満月というように日によって形が変わっていますよね。
形だけでなく、同じ時刻に見える位置も変化します。
太陽の半径は月の半径の約400倍もあります。こんなにも大きさが違うなんて、びっくりですよね。
地球から太陽までの距離も、地球から月までの距離の約400倍。だから、地球から見た太陽と月の大きさは、ほぼ同じに見えるのです。
また、月の公転によって、太陽、月、地球が一直線上に並ぶことがあります。
このとき、太陽の全体、または一部が月にかくれて見えなくなる現象が起こり、この現象を日食といいます。
日食のときには、一部の地球の表面に月の影ができるんですよ。
太陽が完全に見えなくなる日食を皆既日食(かいきにっしょく)といって、これが見られる地域のまわりでは、太陽の一部がかくれる部分日食が見られるんです。
この日食が起こるのは新月のときですが、新月のときにいつも日食が起こるわけではないのです。
月の公転によって、太陽、地球、月の順に一直線上に並ぶこともあります。
このとき、月の全体、もしくは一部が地球の影に入る現象を月食といいます。
みなさんも見たことありますよね?
月の全体が地球の影に入る月食は皆既月食(かいきげっしょく)とよばれ、月の一部が地球の影に入る月食は部分月食といわれているんですよ。
この月食が起こるのは満月のときですが、満月のときにいつも月食が起こるわけではないんです。
⦿ 金星の動き
地球が1年で1公転しているのに対して、金星は約0.62年で1公転しています。とっても速いですね。
また、地球や月の自転・公転が反時計回りなのに対して、金星の自転は時計回りなんです。(公転の向きは反時計回りです)
金星を望遠鏡で継続して観測すると、月のように満ち欠けしながら、大きさも変化することがわかります。
これは、太陽に照らされた側だけが反射して輝き、地球からの距離によって見かけの大きさも変化するからなのです。
金星は、地球よりも太陽の近くを公転しているので、地球から見て太陽と反対の方向に位置することはなく、真夜中には見えません。
よく明け方の東の空に見える星のことを「明けの明星(みょうじょう)」、夕方の西の空に見える星のことを「宵の明星」といいます。
金星はとても明るい天体なので、地上からでもその姿を観測することができます。
明星は、金星のことを指していたのですね。
いかがでしたか?
地球、太陽、月、わたしたちにとって身近な天体についてご紹介してきました。
教科書だけではわかりにくい恒星、惑星、衛星の違いなども、とても大切なので何度も確認してください。
教科書でも説明されていない言葉なども出てきたりしますので、分からない言葉が出てきたら、その都度自分で調べて、自己解決していくクセをつけていきましょう。
そうすることで理解度も深められますよ!
図やそれぞれのまとめでもご紹介しているので、わからなくなったら、もう一度確認してしっかり理解につなげていきましょう!!
このページでは、中学3年生の理科で押さえておきたい学習ポイントを説明させていただきましたが、他にも“絶対に取りこぼしてはいけない基本”はたくさんあります。
小学校までは好きだった理科が、中学生に入ってからは学年が上がるにつれて”大きらい”になってしまう子も今まで多く見てきました。
「1分野がわからない…」
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理科(中3)です。
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