中学1年生の理科では…
光や音、力など、私たちの身の回りで起こるさまざまな現象の特徴を勉強した「1分野」。
作図や計算も出てきましたよね。
植物のつくりや大地の変化など、新しい用語の暗記が大変だった「2分野」。
図解を見ながら一生懸命覚えたと思います。
中学2年生の理科でも…
「理論の1分野」「暗記の2分野」という構成は変わりませんが、学年が1つ上がった分、内容も難しくなっていきます。
1年生の理科がわからない…
>>中1理科をもう一度復習する!
1分野では、新しく勉強する「化学式」や「電流」は理論的な部分をしっかり理解したうえでミスなく計算する必要があるので要注意!ここで大きくつまずく中2生も多く見られます。
2分野では、「動物や人体」や「天気や大気」について学習していきます。ここでも2分野特有の図解を理解しながらの“大量の暗記”が大変です。
難易度も学習量も一気に増える「中2理科」
ビシッと気合を入れて頑張って参りましょう!
中2の理科では、こんなことを学習します。
【1分野】
<物質編> 化学変化と原子・分子
<エネルギー編> 電流の性質
【2分野】
<生命編> 動物の生活と生物の進化
<地球編> 地球の大気と天気の変化
このページでは、中学2年生の理科で押さえておきたい学習ポイントを「単元ごと」にご紹介させていただきます。
こんなページも見られています!
>>中学2年生の教科別学習ポイント
2021年4月から中学校の教科書が全面的に改訂され、新しい学習指導要領による授業が開始されました。理科も教科書が大きく様変わりし、用語の追加や変更、新しい「電池」や「SDGs」のことなど、暗記の増加に加え、自ら思考する内容が盛りだくさん。
もっと詳しく知りたい!
>>2021年からの中学理科の変更点
中2理科の1分野
【化学変化】について
化学変化では、原子や分子、化学式や化学反応式を学習していきます。
原子の記号や化学式の暗記、化学反応式の作り方など、覚えることが急激に増える分野となりますので、1つ1つ確実に積み重ねていきましょう。
【1分野】化学変化
①原子と分子
原子とは…?
すべての物質の最小の単位を「原子」といいます。
例えば酸素の原子記号は「O」です。「O」はこれ以上分割できないので「原子」です。
・化学変化によってそれ以上分割できない
・種類によって大きさや質量が決まっている
・化学変化によって他の種類の原子に変わったり、なくなったり、新しく出来たりすることはない
分子とは…?
物質の性質を示す最小の単位を「分子」といいます。
例えば酸素の原子「O」だけでは酸素の性質にはなりません。酸素の性質になるには、「O2」となる必要があります。
この「O2」というのが酸素の分子というわけです。
※原子がどれくらいくっついて分子になるかは原子によって異なります。
酸素の原子・・・O 酸素の分子・・・O2
水素の原子・・・H 水素の分子・・・H2
単体と化合物
【単体】
1種類の原子だけで出来ていて、それ以上他の物質に分解できない物質
(例)酸素(O2)、水素(H2)、窒素(N2)、鉄(Fe)など
【化合物】
2種類以上の原子から出来ていて、別の化合物や単体に分解できる。
(例)二酸化炭素(CO2)、水(H2O)、酸化銅(CuO)など
原子と分子は今後の化学式や化学反応式で大切な基本となります。
原子と分子のちがいをしっかり認識しておいてください。
【1分野】化学変化
②原子の記号を覚えよう!
化学変化の分野では「原子の記号」を覚えていきます。
水素は「H」とか酸素は「O」とか…、金は高価だから英雄「Au」だ!って覚えたり。
現在見つかっている原子は110種類くらいですが、すべてを覚える必要はありません。
中学生はよく出るモノを確実に覚えていきましょう!
原子の記号(元素記号)一覧
中学生でよく出るヤツです。
大変ですが丸暗記してください。
【1分野】化学変化
③化学式を覚えよう!
物質を元素の記号であらわしたものを「化学式」といいます。
先ほどの分子で出てきた「O2」や「H2」、「H2O」なんかも化学式です。
例えば水の場合…
つまり水の化学式は、H2Oというわけです。
よく出る化学式一覧
大変ですが、こいつも丸暗記です!!
また、単体の化学式では「気体」が2個の原子が結びついて“分子”になるケースが多いので、よく出るこちらの化学式も覚えちゃいましょう!!
窒素:N2 塩素:Cl2
【1分野】化学変化
④化学反応式を理解しよう!
ここから格段とむずかしくなります…。
”化学式”を覚えた上で、自力で化学反応式を完成できるようにしていきましょう!
化学反応式のルール
左辺に「反応前の物質」、右辺に「反応後の物質」を書いて、矢印「→」を使って表します。
「→」を「=」と書いてはいけませんよ。
化学変化の前と後では、原子の数や種類が変わることがないので化学反応式では、
「左辺の原子数」=「右辺の原子数」
となります。
※炭素(C)と酸素(O2)が化合し二酸化炭素(CO2)を生成する反応
C + O2 → CO2
では「水素の燃焼」で練習してみましょう!
※水素(H2)と酸素(O2)が化合し、水(H2O)を生成する反応
「物質名」を化学式で書きます。
このままでは、左辺と右辺の原子の数が合いませんよね…。
左辺のO原子は2つなのに右辺のO原子は1つです。
O原子の数を合わせるため、右辺のH2Oの前に「2」をつけます。
今度はH原子の数が合いませんので、左辺のH2の前に「2」をつけます。
これで左辺と右辺の原子の数が合いました!
「水素の燃焼」の化学反応式は…
・・・となります。
次は「酸化銀の分解」をやってみましょう。
※酸化銀(Ag2O)→銀(Ag)+酸素(O2)
「物質名」を化学式で書きます。
Ag原子は左辺が2つで右辺が1つ…
O原子は左辺が1つで右辺が2つ…
左辺と右辺の原子の数が合いませんね。
まずO原子の数を合わせるために、左辺のAg2Oの前に「2」をつけます。
これでO原子の数は左辺と右辺で合いましたが、Ag原子の数が合いません。
Ag原子が左辺に4つ、右辺に1つですね。
Ag原子の数を合わせるために、右辺のAgの前に「4」をつけます。
これで左辺と右辺の原子の数が合いました!
「酸化銀の分解」の化学反応式は…
・・・となります。
他にもたくさんの化学反応式が出てきますが、ここでは式を丸暗記するだけではなく、作り方を理解して、自分の力だけで式を完成できるようにしていきましょう!
中2理科の1分野
【電流の性質】について
電流の性質では、直列回路と並列回路による電流・電圧・抵抗の理解や、オームの法則の計算など、数学的な要素が数多く登場してきます。
多くの中学2年生が頭を悩ませる分野となるので、気合を入れていきましょう!
【1分野】電流の性質
①電流・電圧・抵抗と回路図
この単元では、電気の通る回路と、そこを通る電流や電圧、抵抗を勉強していきます。
ムズカシイ理屈や計算もたくさん出てきて、思いっきり数学っぽい単元ですよ~!
まずは「単位」から覚えよう!
電流
電流の大きさは I(←アイの大文字)
電流の単位は A(アンペア)
1Aの1000分の1を、1mA(ミリアンペア)といいます。1A=1000mA
電圧
電圧の大きさは V(ボルテージのV)
電流の単位は V(ボルトのV)
抵抗
抵抗の大きさは R
抵抗の単位は Ω(オーム)
回路図について
電流の性質を理解するうえで「回路図」の理解はとっても大切です。
まずは回路図の電気用図記号を覚えてください。
種類は少ないのでカンタンですよ!
回路図には「直列回路」と「並列回路」があり、それぞれの電流・電圧・抵抗の求め方が異なっていきます。
まずはそれぞれの違いを図解を見ながら理解していきましょう。
直列回路と並列回路
※回路図には必ず抵抗器(もしくは抵抗に類する電球など)が描かれています。
抵抗のない回路は電源をショートさせてしまうことになり、その電気製品は壊れてしまいます。
直列回路は“ひと筆書きが出来る”
並列回路は“ひと筆書きが出来ない”
ということを覚えておいてください。
直列回路の「電流」
直列回路は、どこの点でも流れる電流の大きさは同じになります。
たとえば、200mAの電流を流した場合、すべての個所の電流は200mAです。
直列回路の「電圧」
抵抗にかかる電圧の合計が電源の電圧に等しくなります。
上の図を見てください。
電源の電圧は3V。
2つの電球(抵抗)があって、右の抵抗にかかる電圧が1.2Vなら、左の抵抗にかかる電圧は1.8Vになります。
1.2Vと1.8Vの合計が電源の電圧(3V)になるからです。
直列回路の「抵抗」
直列回路の抵抗は、すべての抵抗の合計に等しくなります。
電圧と同じですね。
抵抗A(15Ω)と抵抗B(20Ω)の合計が全体の抵抗(35Ω)になります。
・道筋が1本(ひと筆書きができる)
・電流の大きさは回路のどこでも同じ
・電圧はすべての合計
・抵抗はすべての合計
並列回路の「電流」
並列回路は、枝分かれした電流の合計が全体に流れる電流と同じになります。
上の回路図は200mAの電流を流した場合ですが、枝分かれしたときに電流の数字が120mAと80mAに分かれていますね。
枝分かれした電流の合計=全体の電流
並列回路の「電圧」
並列回路は、どの地点でも電圧はすべて同じです。
上の回路図では、電源の電圧が3Vで、枝分かれしたところもどちらも3Vです。
並列回路の電圧は、どこでも同じ。
並列回路の「抵抗」
並列回路の抵抗は求め方がやっかいです…。
直列回路はたし算でカンタンでしたよね。
並列回路では、全体の逆数は各抵抗の逆数の和となります。
???よく分かりませんよね…(汗)
例えば下の回路図では、抵抗Aが30Ω、抵抗Bが20Ωです。
全体の抵抗はいくつになるでしょうか?
ここでは後に出てくる「オームの法則」と関係があるのですが、まずは次の公式を覚えてください。
公式を使って全体の抵抗(R)を求めてみましょう。
\(\frac{1}{R}\)=\(\frac{1}{30}\)+\(\frac{1}{20}\)
\(\frac{1}{R}\)=\(\frac{2}{60}\)+\(\frac{3}{60}\)(←右辺を通分します)
\(\frac{1}{R}\)=\(\frac{5}{60}\)
\(\frac{1}{R}\)=\(\frac{1}{12}\)(←約分して…)
\(R=12\)
これで、この回路図の抵抗は12Ωであるとわかりました。
並列回路の抵抗は計算力も必要となりますね。
・道筋が分かれる(ひと筆書きができない)
・電流はすべての合計
・電圧の大きさは回路のどこでも同じ
・抵抗は全体の抵抗の逆数と各抵抗の逆数の合計と等しい
直列回路と並列回路はそれぞれの特徴をしっかりと捉えながら、電流・電圧・抵抗の求め方を理解して下さい。
とくに並列回路の抵抗は求め方が少し複雑なので、何度も練習を重ねましょう!
【1分野】電流の性質
②オームの法則
オームの法則は「電流の性質」の中で一番大切な公式です。
しっかり暗記して使えるようにしてください!
「電圧=抵抗×電流」
数学の「道のり=速さ×時間」の公式と似ていますね…(汗)
この公式を覚えて使えるようにしてください。
電圧を「V」、電流を「I」、抵抗を「R」とした公式も覚えてください。
「V=IR」
またこの公式は以下のようにすることもできます。
「電流=電圧÷抵抗」
「抵抗=電圧÷電流」
では実際に問題を解いてみましょう!
<問題.1>
「30Ωの抵抗に2Aの電流が流れている。この抵抗にかかっている電圧は何Vか?」
電圧(V)を求めるので抵抗(Ω)×電流(A)ですね。
30×2=60
答え. 60V
<問題.2>
「10Ωの抵抗に20Vの電圧をかけると何Aの電流が流れるか?」
電流(A)を求めるので電圧(V)÷抵抗(Ω)ですね。
20÷10=2
答え. 2A
<問題.3>
「ある抵抗に30Vの電圧をかけたところ、2Aの電流が流れた。この抵抗の大きさは?」
抵抗(Ω)を求めるので電圧(V)÷電流(A)ですね。
30÷2=15
答え. 15Ω
ここで紹介した「電流の性質」はほんの一部にすぎません。他にもこの分野では、直列回路や並列回路、熱量(ジュール)の計算、電力量の計算など、とにかく難しい内容がバンバンでてきます…。
学校の授業をしっかり聞いて、取りこぼしのないように頑張りましょう!
中2理科の2分野
生物のつくり
中1の理科では、被子植物や裸子植物など植物の分類や、葉の呼吸や植物がなぜ緑色になるのかについて学習しましたね。
ここでは植物の細胞や私たちなど動物が持つ細胞や器官について学習していきます。
植物については葉緑体を含む細胞のはたらきや分類がどのようになっているか、人間や鳥、犬など動物の細胞と器官が生きていくためにどのようなはたらきをしているのかなど、普段私たちが見ることのない生物のしくみについて詳しく紹介していきます。
テストでも出る大事な部分になるので、それぞれしっかりチェックしていきましょう!
【2分野】生物のつくり
①植物と動物の細胞
植物も動物もすべての生物の体は、細胞とよばれる小さな部屋のようなものがたくさん集まってできています。
生物の体をつくりだす一番小さなものが細胞なのです。
植物と動物の細胞のつくりにはそれぞれの共通点と違いがあります。
どちらの細胞にも細胞膜、細胞質、核はありますが、植物にあって動物の細胞にはないものがあります。
⦿動物も植物もどちらの細胞にもある
核、細胞質、細胞膜
核は、1つの細胞に1つある丸い粒です。
実験でもよくやりますが、染色液によく染まります。
細胞質は、細胞膜に包まれている核以外のいろいろな物質の総称です。
細胞膜は、細胞質を包むうすい膜です。
⦿植物の細胞にだけある
※動物の細胞にはない細胞壁、液胞、葉緑体
細胞壁は、植物の細胞膜の外側にある厚くじょうぶな仕切り。
細胞を保護し、植物のからだを支える役割をはたしています。
液胞は、中に細胞液という液が入っていて、細胞の活動でできた物質が溶けています。
若い細胞では小さく細胞が成長すると液胞が大きくなります。
葉緑体は、緑色の小さな粒で光合成が行われます。
中1でもそのはたらきを学習しましたね。
また、図のように、細胞にはリボソームやゴルジ体、ミトコンドリアなど、さらに細かい構造があります。
※タマネギなどの野菜も植物とおなじ細胞です。
実験でよくタマネギの表皮の細胞も見ますね。
■ 単細胞生物と多細胞生物
⦿単細胞生物
ゾウリムシやアメーバ、ミカヅキモという生物を小学校で学習したのを覚えていますか?
水の中の小さな生物であるこれらのプランクトンは、単細胞生物といって、体が1つの細胞でできています。
単細胞生物は1つの細胞で、運動、食べること、不要物の排出などすべてのことを行っています。
ミドリムシやケイソウも同じなかまです。
⦿多細胞生物
一方で、ミジンコやヒトである私たち、イヌやタンポポなどを、多細胞生物といい、かたちや大きさが違ういろいろな細胞でできています。
たくさんの細胞でできている多細胞生物は、かたちやはたらきがおなじ細胞が集まって組織をつくります。
この組織がいくつか集まって特定のはたらきをもつ器官をつくります。
植物の葉や動物の胃、脳や目などは、どれも器官です。
これらの器官がいくつか集まってヒトやサクラという個体ができるのです!
■ 細胞呼吸
植物と動物、どちらの細胞も生きるためのエネルギーを取り出すために細胞呼吸といわれるはたらきを行います。
★ 細胞まとめ ★
~植物と動物に共通のつくり~
【核】
・細胞にある丸い粒
・染色液によく染まる
【細胞質】
・細胞膜に包まれている、
・核以外のいろいろな物質の総称
【細胞膜】
・細胞質を包むうすい膜
~植物の細胞のみにあるつくり~
【液胞】
・中に細胞液という液が入っている
・細胞の活動でできた物質が溶けている
【葉緑体】
・緑色の小さな粒
・光合成が行われる
【細胞壁】
・植物の細胞膜の外側にある厚くじょうぶな仕切り
・細胞を保護し、植物のからだを支える役割をはたす
~植物と動物に共通のつくり~
【核】
・細胞にある丸い粒
・染色液によく染まる
【細胞質】
・細胞膜に包まれている、
・核以外のいろいろな物質の総称
【細胞膜】
・細胞質を包むうすい膜
~植物の細胞のみにあるつくり~
【液胞】
・中に細胞液という液が入っている
・細胞活動でできた物質が溶けている
【葉緑体】
・緑色の小さな粒で光合成が行われる
【細胞壁】
・植物の細胞膜の外側にある厚くじょうぶな仕切り
・細胞を保護し、植物のからだを支える役割をはたす
【2分野】生物のつくり
②動物の器官
ここでは、消化、吸収、呼吸、排出、血液の循環など、主にヒトの体内から動物の器官のはたらきを見ていきます。
私たち人間をふくめ、イヌや鳥など動物が生きてくために必要なはたらきをくわしく紹介していくので、図も確認しながら、ひとつひとつおさえていきましょう!
■ 消化
私たちは毎日、食事をしますよね。
食事は、私たち動物にとって生きていくために必要な栄養分を食物から取り入れる重要な役割をはたしています。
食べ物にふくまれている炭水化物や脂肪、たんぱく質などの栄養分は、大きな分子でできていることが多く、そのままでは吸収できません。
体に吸収されやすいようにこれらの栄養分を小さく分解することを消化といいます。
口から取り入れられ食べ物は、
口→食道→胃→小腸→大腸
とつながる消化管といわれる1本の管になっています。
食べ物が吸収されやすい状態になるには、細かく噛み砕いたり、消化管の運動でその状態がつくられるだけではなく、消化液のはたらきが必要です。
消化液には、唾液(だえき)や胃液、すい液があり、消化酵素をふくんでいます。
消化酵素とは…?消化酵素は、私たちが取り入れた栄養分を分解するはたらきをして、吸収されやすい物質に変えてくれます。消化酵素には、いくつかの種類があり、それぞれ分解する物質が決まっています。
⦿栄養分の分解
食べ物の中の炭水化物・タンパク質・脂肪といった栄養分は、消化管を通る間に消化酵素のはたらきで分解されます。
★デンプン(炭水化物)→ブドウ糖
デンプンは、唾液中のアミラーゼや、すい液中のアミラーゼ、小腸の壁にある消化酵素などのはたらきで、最終的にブドウ糖に分解される。
★タンパク質→アミノ酸
タンパク質は、胃液中のペプシン、すい液中のトリプシン、小腸の壁にある消化酵素のはたらきでアミノ酸に分化される。
★脂肪→脂肪酸とモノグリセリド
脂肪は、胆汁のはたらきで水に混ざりやすくなり、すい液中のリパーゼのはたらきで脂肪酸とモノグリセリドに分解される。
このようにして栄養分は小腸を通る間にほぼ完全に消化されます。
ココでちょこっと豆知識
-草食動物と肉食動物の消化管-
消化管のつくりと長さには、動物の食べ物の種類によってちがいが見られます。
植物を食べるウマ、ウシ、ヒツジなどの草食動物の腸は、トラやライオンなど動物の肉が主食の肉食動物の腸に比べると長いんです。
草の中の養分は肉に比べて少なく、消化もされにくいので、できるだけたくさんの養分を取り入れるために、時間をかけて吸収する必要があります。
植物を主食としているので、腸が長くなるだけでなく、その栄養をとり残さないように消化管にも工夫がされていたり、腸内の菌などの力をかりて分解→消化→吸収しているんです。
ライオンの消化管は体の4倍であるのに対して、ヒツジの消化管は体の25倍にもなるんですよ!!
また、私たちヒトは、植物も動物も食べる雑食で、腸の長さは草食動物と肉食動物の中間です。
■ 吸収
小腸の内側の壁にはたくさんの“ひだ”があり、その“ひだ”の表面に柔毛という小さな突起がいくつもあります。
無機物や消化酵素などにより消化された栄養分は、この柔毛から吸収されます。
柔毛の中には毛細血管とリンパ管があり、この2つで吸収される栄養分がわかれます。
ブドウ糖とアミノ酸、無機物は、柔毛の表面から吸収されて毛細血管に入り、肝臓を通って全身に運ばれます。
一方、脂肪酸とグリセリドは、柔毛の表面から吸収されたあと、また脂肪に戻ってリンパ管に入ります。
その後、血管と合流し、血液と一緒に全身の細胞に運ばれます。
■ 呼吸
中1理科では植物が行っている葉の呼吸を、中2の生物の細胞の章では、植物も動物も細胞が細胞呼吸を行っていることを学びました。
ヒトや多くの動物には、細胞呼吸で酸素と栄養分を取り入れ、二酸化炭素と水を体外に出すしくみがあります。
ここでは、ヒトなど動物が行っている呼吸についてご紹介していきます。
呼吸といったら、鼻や口から空気を吸ったり出したりすることを思い浮かべますよね?
ですが、呼吸は私たちが鼻や口で酸素や二酸化炭素をただ吸ったり吐いたりしているだけではありません。
ヒトや動物が酸素(空気)を吸ってから、二酸化炭素を出すまでに、体の中でも呼吸をしています。
⦿肺呼吸
私たちは普通の生活の中で、酸素を吸って二酸化炭素をはいています。
ヒトが吸うこの酸素(空気)は、気管を通って肺に入ります。
肺の中は、細かく枝分かれした気管支と、その先につながる肺胞という小さな袋がたくさん集まってできています。
肺胞はうすい膜でできていて、まわりを毛細血管が網の目のように取り囲んでいます。
気管→肺→気管支→肺胞へと酸素が入る
空気を吸うことで、細胞呼吸に必要な酸素が肺から取り入れられ、細胞呼吸でできた二酸化炭素は肺へ運ばれ、気管を通って体外に出されるのです。
この呼吸を肺呼吸といいます。
<酸素の流れ>
気管→肺(気管支→肺胞→毛細血管の中の血液にとりこまれる)→全身の細胞へ=細胞呼吸
<二酸化炭素の流れ>
細胞呼吸で二酸化炭素が発生→肺(毛細血管→肺胞→気管支)→気管→鼻や口から体外へ
■ 排出
消化の部分では、タンパク質はアミノ酸に分解されることを学びましたよね。
アミノ酸には窒素(ちっそ)がふくまれていて、分解されると二酸化炭素と水以外に体に不要なアンモニアも発生します。
呼吸の時に発生する二酸化炭素も不要な物質です。
アンモニアも二酸化炭素も、体内に多くたまると有害なので、これらの不要な物質を取り除き体外に出すはたらきを排出(はいしゅつ)といいます。
二酸化炭素は呼吸ではくことによって体外に排出されますよね。
では、アンモニアはどのようにして排出されるのでしょうか。
アンモニアは、血液によってまず肝臓(かんぞう)に運ばれ、害の少ない尿素(にょうそ)に変えられます。
その後、さらに血液で腎臓(じんぞう)へと運ばれます。
<アンモニアの変化>
タンパク質→アミノ酸に分解→二酸化炭素・水・アンモニアが発生→血液によって肝臓へ→尿素に変わる(害が少ない)→血液によって腎臓へ
腎臓では、血液によって運ばれた尿素などの不要な物質は、余分な水分や塩分と一緒に血液中からこしだされて尿になります。
尿は、輸尿管(ゆにょうかん)を通って“ぼうこう”に一時ためられ、体外に排出されます。
腎臓のはたらきによって、血液中の不要な物質が取り除かれ、塩分も体に適した濃さに保たれているのです。
腎臓(尿素・余分な水分・塩分が血液中からこし出される)→尿素は尿に変わる→輸尿管→ぼうこうに一時たまる→排出
また、血液中の不要な物質の一部は、皮膚にある汗腺(かんせん)から水と一緒にこし出され、汗(あせ)となって排出されます。
■ 血液の循環
私たちの体には、たえまなく動く心臓と全身にはりめぐらされた血管があり、その中を血液が循環しています。
私たちの体を循環している血液は、さまざまなはたらきをしています。
⦿血液の成分
血液は、赤血球、白血球、血小板などの固体成分と、血しょうという液体成分からなっています。
赤血球(個体)
赤血球は酸素を運んでくれます。
赤血球にはヘモグロビンという赤い物質がふくまれていて、肺胞などの酸素が多いところで酸素と結びつき、酸素が少ないところでは酸素をはなす性質があります。
このヘモグロビンのおかげで酸素は細胞に届けられるんです。
白血球(個体)
赤血球は中央がくぼんだ丸い形をしていますが、白血球はいろいろな形のものがあります。
ウイルスや細菌などの病原体を分解して、私たちの体を守ってくれています。
血小板(個体)
赤血球や白血球より小さく、不規則な形をしています。
私たちが転んだり切ったりけがなどで出血したときに、血液を固めるはたらきをしてくれます。
血しょう(液体)
栄養分や、二酸化炭素などの不要物を溶かして運んでくれます。
⦿組織液
全身の細胞の間には毛細血管が網の目のようにはりめぐらされています。
毛細血管の壁(かべ)は、とってもうすく、組織液という血しょうの一部が毛細血管からしみ出した液で細胞のまわりが満たされています。
組織液は、血液と細胞の間で物質の受け渡しを行ってくれます。
栄養分や酸素を細胞に取り入れたり、アンモニアや二酸化炭素の不要物を血管に運び出してくれているのです。
⦿血管
私たちの手や足の甲、手首や首などには、青紫や緑色の血管が見えますね。
人間の体の中には、動脈や静脈という血液が流れる管があります。
動脈
心臓から出ていく血液が流れる血管を動脈といいます。
動脈の壁は、高い圧力に耐えられるように分厚く弾力があります。
静脈
動脈とは反対に流れ、心臓にもどる血液が流れる血管を静脈といいます。
動脈よりもうすい壁でできていて、血液の逆流を防ぐ(ふせぐ)弁があります。
動脈も静脈も、毛細血管につながっています。
からだのフシギ
-手首に見える血管は動脈?静脈?-
血管には動脈と静脈の2つあることが分かりましたね。
私たちの体の中にある血管は、全てを確認することは出来ませんが、手首や手の甲など皮膚(ひふ)に少し浮き出ているのを確認することが出来ます。
では、私たちの皮膚にはどちらの血管も見ることが出来るのでしょうか?
実際には、私たちの皮膚から確認できる血管はそのほとんどが静脈なのです。
静脈は、私たちの皮膚(ひふ)から浅いところを通っているので、血管が確認しやすいのです。
また、静脈は血管の壁が薄く、血液検査のときの採決にも適しています。
動脈は、血管の壁が分厚くて皮膚より深いところを通っているので、肉眼では確認することが難しいのです。
⦿循環
心臓から出た血液は、体の中を循環して心臓に戻りますが、この道すじは肺循環と体循環に分けられます。
<肺循環>
心臓から肺を通り、心臓にもどる血液循環
<体循環>
心臓から肺以外の全身を回り、心臓にもどる血液循環
【2分野】生物のつくり
③動物の五感
キツネ、イヌ、サカナ、トリなど、地球上には様々な動物たちがいますね。
私たち人間をふくめた動物は、食べ物を食べないと生きていけません。
動物が食べ物を見つけたりとらえたり、敵(てき)から自分の身を守ったりすることができるのは、まわりの様子を感じ取り的確に行動するしくみを持っているからです。
では、そんな動物たちにはどのような感覚が備わっているのでしょうか?
また、私たちの手や足などはどのように動くのでしょうか?
動物の感覚と、それにともなう運動について見ていきましょう!
■ 感覚
水そうに入ったメダカや金魚を見たことはありますか?
サカナたちに手を近づけると、メダカや金魚はさっと逃げてしまいますよね?
また、一羽のトリや一匹の動物が鉄砲でうたれると、他のトリや動物たちは、鉄砲の音で逃げたりしますね?
このように、動物はまわりの変化を感じ取り、それに反応して生活しています。
このまわりからの刺激を受け取る器官を感覚器官といいます。
■ 神経
私たち人間の感覚器官は、主に5つ、目、耳、鼻、口、皮膚(ひふ)です。
これらは五感といわれる視覚、聴覚、嗅覚(きゅうかく)、味覚、触覚に関わる器官で、光や音、におい、味、温度や痛みなどの刺激を受け取っています。
これらの刺激を受け取り、体に命令をすることで反応が起こります。
まぶしい、暗い、うるさい、くさい、まずい、美味しい、冷たい、温かい、痛いなどを感じるのは、感覚器官が刺激を受け取っているからなのです。
このように目や耳などで刺激(情報)を受け取り、感じて反応するまでの間に刺激や命令を伝えてくれる神経があります。
⦿中枢神経・・・脳や脊髄(せきずい)
(ちゅうすうしんけい)
感覚器官が受け取った刺激を受け、命令を出す
⦿末しょう神経・・・中枢神経から枝分かれ
(まっしょうしんけい)
-感覚神経ー
:感覚器官からの刺激を中枢神経に伝える
-運動神経ー
:中枢神経からの命令を運動器官に伝える
※運動器官は、手や足、内臓の筋肉などです。中枢神経からの命令を受け取ることで刺激に対して反応しています。
■ 反応
私たちが刺激によって起こる反応には、2つあります。
意識して起こす反応と、無意識に起こる反応です。
⦿意識して起こす反応
上から落ちてくるリンゴをつかもうとする時などは、意識して起こす反応です。
刺激を受けてから反応が起こるまでに時間がかかります。
落ちてきたリンゴの像を、光の刺激として目が受け取り、その刺激(信号)が感覚神経を通って脊髄から脳に伝えられます。
脳でリンゴが動くことが伝えられると、脳から「つかめ」という命令の信号が出され、脊髄を通して運動神経に伝わり、筋肉が動いてリンゴをつかむのです。
⦿無意識の反応(=反射)
無意識に起こる反応を反射といいます。
これは私たちが生まれつき持っているものです。
熱いものにふれた時、熱いと感じる前に思わず手を引っこめたりしますよね?
口の中に食べ物が入ると自然と唾液(だえき)が出たり、瞳(ひとみ)の大きさが光の強さによって変化したりするのも反射によるものなのです。
反射では、感覚器官で受け取った刺激の信号が感覚神経を通って脊髄に伝わると、脳を通らずにそのまま運動神経を通って運動器官に伝えられて反応が起きます。
反射のときは、刺激が脳に伝わる前に起きているんですね!!
この反射は、意識して起こす反応よりも早く起こり、危険から体を守ったり、体のはたらきを調節したりするのに役立ってくれています。
■ 運動
刺激に対する反応で使われる手や足などの運動器官は、骨と筋肉によって動きます。
私たちの体には、身体を支える多数の骨があり、組み合わさったり、つながったりして複雑なしくみの骨格をつくっています。
骨格は、体の支えになっているだけでなく、脳などの神経や内臓も保護してくれています。
私たちヒトや魚の骨格のように、体の内部にある骨格を内骨格といいます。
【2分野】生物のつくり
④動物の分類
地球上では、いろんなところで様々な動物たちが生活しています。
海、陸、呼吸のしかた、なかまの増やし方.…
どのような動物が、どこでどんな生活をしていて、体のつくりはどのようになっているのでしょうか?
動物の種類や特性を知っていきましょう!!
■ 脊椎動物と無脊椎動物
ヒト、鳥、昆虫、イカ…
動物は背骨を中心とした骨格を持つもの(脊椎動物)と、持たないもの(無脊椎動物)とで大きく2つに分けられます。
・・・ヒト、鳥、ウマ、魚など。
無脊椎(むせきつい)動物
・・・昆虫、エビ、イカなど。
⦿脊椎動物
脊椎動物は、魚類、両生類、は虫類、鳥類、哺乳類の5つにわけられます。
動物の分類の前に、それぞれのなかまの増やし方と体温の特徴について見ていきましょう。
なかまの増やし方には、胎生(たいせい)と卵生(らんせい)があります。
<胎生>(たいせい)
哺乳類で子が母親の子宮内で酸素や栄養分をもらい、ある程度成長してから生まれる増え方
<卵生>(らんせい)
卵を産んで卵から子がかえる増やし方。卵を水中に産むものと、陸上に産むものとがいる。親が卵を温めることで卵がかえる動物もいる。
室温や外の温度の変化によって見られる体温の変化は、変温動物と恒温動物の2つに分けられます。
<変温動物>(へんおんどうぶつ)
まわりの温度の変化と一緒に体温も変わる動物。陸上の動物には冬になると体温が下がり冬眠するものが多い
<恒温動物>(こうおんどうぶつ)
まわりの温度が変化しても体温がほぼ一定に保たれている動物。
では脊椎動物のなかまの分類・特徴を見ていきましょう。
・水中で生活
・卵生:カラのない卵を水中に産む
・体温:変温動物
・呼吸:えら呼吸
・体表:うろこ
(メダカ、タツノオトシゴ、チンアナゴなど)
・子は水中、親は陸上や水辺
・卵生:水中に産む
・体温:変温動物
・呼吸:子はえら呼吸、親は肺と皮膚
・体表:うすく湿った皮膚
(イモリ、カエル、サンショウウオなど)
・陸上で生活
・卵生:カラのある卵を陸の砂や土に穴をほって産む
・体温:変温動物・呼吸:肺
・体表:うろこ
(ヤモリ、カメ、ワニなど)
・陸上で生活
・卵生:かたいカラの卵を陸の巣の中に産む
・体温:恒温動物・呼吸:肺
・体表:羽毛
(ハト、スズメ、ペンギンなど)
・主に陸上で生活
・胎生:子は母親の子宮内で育つ
・体温:恒温動物
・呼吸:肺
・体表:毛
(ヒト、イヌ、イルカなど)
⦿無脊椎動物
地球上には脊椎動物よりはるかに多くの無脊椎動物がいます。
大きく節足動物と軟体動物の2つに分けられますが、中にはそこにもふくまれない動物たちもいます。
どのような仲間がいて、どのような特徴があるのかを、それぞれの分類名から特徴を見ていきましょう。
体の外側が骨でおおわれた外骨格でできていて、筋肉が外骨格の内側についている。
体や足が多くの節でわかれている。
・増やし方:卵生
・呼吸:甲殻類はほとんどがえら呼吸。
昆虫類とその他の動物は気門から空気を取り入れる
・体温:変温動物
・脱皮して成長する
昆虫類、甲殻類、その他に分類
・昆虫類…バッタ、カブトムシ、ハチなど
・甲殻類…エビ、カニ、ダンゴムシなど
・その他…クモ、ムカデ、ヤスデなど
内臓が外とう膜でおおわれている。
・増やし方:卵生・呼吸:えら呼吸(一部は肺)
・体温:変温動物
・背骨、骨格、節がない。
・足は筋肉でできている。
・ほとんどが水中で生活。
(イカ、アサリ、ナメクジ、マイマイなど)
また、その他に分けられる無脊椎動物は、ミミズ、ヒトデ、ウニ、クラゲ、サンゴ、ヒルなどたくさんのなかまがいます。
いかがでしたか?
ここまでで生物の細胞、器官、感覚、特性などを詳しく見てきました。
生物にはさまざまな特性と種類があることも分かりましたね。
腎臓や肺、腸など私たちの体のしくみやはたらきは、知れば知るほど奥深いものです。
細胞も器官も、感覚や動物の特徴も、テストにおいて色文字の部分はとっても重要になりますよ!
学校の授業で出てくるところや重要といわれるところをしっかり聞いて、理解しながら暗記していきましょう!
中2理科の2分野
大気と天候
中1理科の物質の状態変化では、水が気体や液体、固体になったりすることを学習しましたよね。
この水の状態変化は、私たちの身近な“天気”にも大きく関係しています。
時々おこる霧や雲…、
環境により降り方が異なる雨や雪…
これらはどのようにしてできたりするのでしょうか。
天気と気圧の変化にはどのような関係があるのか、など、水と気圧が主に起こす天気の変化についても詳しくご紹介していきます!
【2分野】天気と天候
①水の変化
■ 水蒸気
中1の理科では、水を熱して沸騰させると蒸発して水蒸気になることを学びましたね。ですが水は沸騰しなくても蒸発して水蒸気になります。
水たまりの水がなくなっていくのは、水が蒸発して水蒸気になって空気中に含めれていくためなのです。
⦿霧(きり)
霧を見たことはありますか?秋の深夜から早朝にたまに出たりしますよね。
霧は、地表付近の空気が冷やされると、空気中の水蒸気が水滴になり発生します。
ですが、太陽が出て気温が上がると、霧は再び水蒸気になって消えてしまうんです。
「朝に霧が出ると晴れる」という昔からのいい伝えもありますね。
⦿雲(くも)
雲は、空気中の水蒸気がまとまった小さな水滴や氷のツブの集まりです。
うろこ雲、入道雲、あま雲、わた雲…、私たちが時々見上げる空には、よく雲がありますね。
細かい特徴や季節によって見える雲はそれぞれ違いますが、どの雲も水が変化してできたものなのですね。
⦿雨や雪
雨や雪などを降水(こうすい)といいます。
雲をつくる水滴や氷の“つぶ”はとても小さいので、空気中を動いていてもほとんど落ちてくることはありません。
ですが、この小さなつぶ達がぶつかりあって合体したりすることで、雨粒(あまつぶ)や雪の結晶に成長しているのです。
雪の結晶は落ちてくる間に溶けて水滴(雨粒)になることもあるのですよ。
■ 空気の上昇・下降
空気は温められると上昇(じょうしょう)し、冷やされると下降(かこう)します。
上昇する空気の動きを上昇気流といい、下降する空気の動きを下降気流といいます。
⦿気圧の変化
空気にも重さがあります。
水の重さによる圧力は水圧といいますが、この空気の重さによる圧力を気圧(大気圧)といいます。
気圧の大きさは、hPa(ヘクトパスカル)で表されます。
海面とおなじ高さの地点の気圧は、平均すると約1013hPa(1気圧)です。
この気圧は、海面から上空にいくほど低くなります。
空気は上昇すると気圧が低くなるため膨張(ぼうちょう)する。
(外から押す力が弱いと中から押す力が強くなる)
→膨張することで空気の中のエネルギーが減る
→空気の温度が下がる。→空気中の水蒸気の一部が小さな水滴や氷のつぶになる。
→雲が出来る低気圧が発達する、ということは雨雲が多くなってくるということですね。
空気が下降すると気圧が高くなる
(外から押す力が強いと中から押す力が弱くなる)
→圧縮される
→空気の温度が上がる
→水滴や氷のつぶが少ない
→雲が出来にくい
高気圧では天気がいいのですね。
⦿湿度(しつど)
水蒸気から水滴への変化には、温度だけでなく空気中にふくまれる水蒸気の量が関係しています。
空気1㎥中にふくむことのできる水蒸気の最大量
この量は、温度が高いほど大きくなります。
単位は「g/㎥」です。
空気中の水蒸気が冷やされて水滴に変わるときの温度
(水蒸気の量が飽和水蒸気量とおなじときの温度)
この温度が高いほど空気中の水蒸気量が大きくなります。
コップの表面がくもりはじめたときは、空気1㎥中にふくまれている水蒸気量がちょうど飽和水蒸気量と一致したときで、このときの温度が露点です。
空気の湿り気の度合いを百分率(%)で示したもの
★ 空気と湿度のまとめ ★
上昇気流・・・上昇する空気の動き
下降気流・・・下降する空気の動き
気圧(大気圧)・・・空気の重さによる圧力
飽和水蒸気量・・・空気1㎥中にふくむことのできる水蒸気の最大量
この量は、温度が高いほど大きくなる
露点・・・空気中の水蒸気が冷やされて水滴に変わるときの温度
(水蒸気の量が飽和水蒸気量とおなじ時の温度)
温度が高いほど空気中の水蒸気量が大きくなる
湿度・・・空気の湿り
【2分野】天気と天候
②風と気圧
■ 気圧
気圧は海面からの高さによって高低が異なることを学びましたね。
天気予報などでよく聞く低気圧と高気圧は、周りと比べて気圧が高いのか低いのかで決められています。
ですので、いろいろな場所で同時刻に測定した気圧を比較するときは、測定した場所の高さによって生まれてしまう気圧の差をなくすために、海面とおなじ高さの気圧に直しています。
この時に直した気圧が地図上に記されているのです。
<等圧線>
地上の気圧が等しいところを結んだ線
<気圧配置>
気圧の分布のようす
<高気圧>
まわりより気圧が高いところ
<低気圧>
まわりより気圧が低いところ
<天気図>
等圧線や高気圧・低気圧の位置、各地の天気や風のようすなどを地図上に記したもの
こうして天気予報でも見られる天気図が作られているんですね!
気圧の建物
-東京ドームはいつも高気圧!?-
東京ドームへは行ったことはありますか?
よく球場やテーマパークなどの大きさと比較されたりもしていますよね。
東京ドームの屋根は、気圧差を利用して風船のようにふくらんでいるのですよ。
加圧送風ファンで空気を送り、ドーム内の気圧を外よりも高くして、屋根膜をふくらませているのです。
ドーム内外の気圧差が、いつも約3hPaになるように調整されていて、晴れて外の気圧が高い日などは、ドーム内の気圧も高くなります。
こうしてドームの屋根はふくらんだ状態が保たれているんですね!!
また、ドームの内が外より高い気圧なので、出入り口ではドーム内から外に向かって風が吹いています。
高気圧から低気圧に向かって風がふくのとおなじです。
なので、ドーム内の気圧が下がらないように、出入り口を回転ドアにすることでドーム内の空気を逃げにくくしているんです。
建物にも気圧を利用するなんてすごいですね!!
■ 風
私たちが地表で感じる風は、気圧の高いほうから低いほうへ大気が動くことで生まれています。
気圧の差による大気の水平方向の動きが風になっているのです。
その向きは16方位の風向きで、強さは風力(風速)で表されます。
⦿高気圧・低気圧の風
風は高気圧から低気圧に向かってふきます。
風の強さは、等圧線の間隔がせまいところほど強くなります。
■ 大気
日本では、地上や海上、上空、宇宙などで観測された気象データは、気象庁などに集められ、過去のデータと一緒にすばやく処理され、天気変化の予測に利用されています。
こうして作られた天気予報は、わたしたちの日常生活や防災などに役立っているのです!
ある場所のある時刻における大気の状態を表す要素。
気温、湿度、気圧、風向・風力、雲量、雲形など。
⦿気団と前線
広大な大陸や海洋上に大規模な高気圧ができると、その中の大気はあまり動かず長時間とどまります。
そうすると、大陸や海洋などの影響を受けて気温や湿度がほぼ一様になります。
気団
気温や湿度などの性質がほぼ一様で大規模な空気のかたまり
冬になると、冷えた大陸上に冷たくて乾燥した気団ができます。
この気団を寒気団といいます。
反対に、夏は日本列島の南の海上にあたたかくて湿った気団ができます。
これを暖気団といいます。
この寒気団と暖気団の2つが接すると、すぐには混じり合わず、気団の間に境界面ができます。
この境界面を前線面といいます。
境界面と地面が交わる線を前線といいます。
⦿前線の種類
停滞前線
寒気団と暖気団の強さがおなじくらいのときにでき、ほぼおなじ場所に停滞する前線
前線上で温帯低気圧(大気のうず)が発生すると、うずの西側と東側でそれぞれに前線ができます。
寒冷前線
うずの西側で寒気が暖気を押し上げながら進む
通過中:強い雨が短時間せまい範囲で降る
通過後:北よりの風に変わり気温は下がる
温暖前線
うずの東側で暖気が寒気の上にはい上がって進む
通過中:雨が長時間広い範囲で降る
通過後:南よりの風に変わり気温が上がる
寒冷前線の進み方は温暖前線より速いことが多いです。
なので、地上の暖気の範囲はしだいにせまくなり、寒冷前線が温暖前線に追いついて、閉塞前線(へいそくぜんせん)ができます。
閉塞前線ができると、地表付近はすべて寒気におおわれて、低気圧は消滅してしまうんです。
⦿気圧
偏西風
西よりの風
西から東へ一年中移動する
日本付近の低気圧や移動性高気圧は、この偏西風に押し流されて西から東へ移動しています。だから、天気も西から東へと移り変わるんですね!!
【2分野】天気と天候
③四季と天気
■ 大気の動き
陸(地面)と海(海面)では、あたたまりやすさに違いがあります。
水は砂や岩石に比べて温まりにくく、冷めにくい性質がありますよね。
この陸と海の性質の違いから海風と陸風、季節風が生まれています。
海風
海から陸に向かう風
晴れた日の昼、海上より陸上の気温が高くなり、上昇気流ができることによって起こる
陸風
陸から海に向かう風
晴れた日の夜、海上より陸上の気温が低くなり、下降気流ができることによって起こる
季節風
季節によって吹く方向を変える風
冬の季節風・・・北西の季節風
冷たく乾燥したシベリア気団が発達し、大陸から海洋に向かう風
夏の季節風・・・南東の季節風
海洋から日本を通って大陸へ向かう温かい風
■ 日本の四季
日本は、春・夏・秋・冬と四季の特徴が豊かな国です。
それぞれの特徴を天気に注目してみてみましょう!
春
シベリア気団がおとろえ、偏西風の影響で移動性高気圧と低気圧が交互に通過する
夏
オホーツク海気団はおとろえ、小笠原気団の勢力が最大になる
温かく、湿った南東の季節風がふき、蒸し暑い日が続く
秋
小笠原気団がオホーツク海気団とおなじくらいの勢力になり、梅雨の時期と似た気圧配置となって秋雨前線(停滞前線)が停滞する
冬
冷たく乾燥したシベリア気団が発生し、北西の季節風が吹く。
日本の東の海上で低気圧が発達すると、西高東低の気圧配置になる。
台風
熱帯地方の太平洋上で発生した低気圧が発達したもの
中心に向かって強い風が吹き込んで激しい上昇気流を生じる
つゆ(梅雨)
夏の前にオホーツク海気団と小笠原気団との間に東西に長くのびた停滞前線「梅雨前線(ばいうぜんせん)」ができて雨の多い天気が続く。
夏の後にも梅雨前線に似た秋雨(あきさめ)前線ができる
いかがでしたか?
雲も雨も、もとは空気にふくまれる水が変化してできていたことが分かりましたね。
私たちがいつもテレビなどで確認している天気がどのように変わっているのか、冬と夏の大気がそれぞれの四季に関わっていることなどご紹介してきました。
テストにも出る重要な語句はたくさんありますが、それぞれの特徴も理解して覚えていくことで、より理解を深められます。
空気と雲や雨ができる関係、湿度と水蒸気量の関係など、しくみが複雑で言葉だけで覚えるのが難しいものがたくさん出てきています。
わからなくなったら、図をよく見ながらあせらず何度でも確認して、しっかり理解につなげていきましょう!!
このページでは、中学2年生の理科でつまずきやすい「化学式」や「電流」などの1分野や、2分野の用語などを紹介させていただきましたが、他にも“絶対に取りこぼしてはいけない基本”はたくさんあります。
2年生からは格段に難しくなりますよね・・・
「1分野の計算がムリ…」
「2分野の暗記が面倒くさい…」
そんなお子さんは今すぐ対策をしていかないと、3年生になってから大変になってしまいます。
私たち家庭教師のジャニアスでは、“理科の楽しさ”を教えてたくさんのお子さんに点数アップ、成績アップの結果を出してきました。
今なら!無料の体験授業で勉強のやり方から丁寧に教えていますので、この機会に一度試してみませんか?
もちろん、体験授業を受けていただいたからといって、ご入会への無理な勧誘は一切ありませんのでご安心ください。
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理科(中2)です。
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続けることができなければ「意味がない」と考えています。
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もちろん、体験を受けたからといって、無理に入会を勧めるようなことは一切ありませんので、安心してくださいね(^^)