中学の社会は暗記だけじゃない!
教科書改訂でどう変わった?
「中学校の社会ってどう変わったの?」
「歴史のボリュームが増えるって本当?」
「暗記ばかりでホントにイヤになる…」
社会は暗記科目!というイメージを持っている方も多いと思いますが、これからの中学社会は暗記だけではなく、資料を読み解く力や、読解や説明ができる力が求められています。
まさに「資料とデータの山」って感じ。
なんだか数学や理科みたいですね…。
2021年度から始まった新しい学習指導要領では、社会の教科書も大きく改訂され、授業時間も歴史と地理で増減しました。特に歴史の教科者は、世界史の内容が増えたことから「大幅な変化!」と言えるほど。
このページでは小学校高学年や中学生のお子さんをお持ちのご家庭に向けて、教科書や学習内容、変更された授業時間が具体的にどう変わったのかをご紹介させていただきます。
>>中学校の教科書改訂【5教科】を見る
~中学社会はここが大きく変わる!~
大改訂後の中学社会
今回の教科書改訂で「中学社会」の主な変化は、大きく分けて次の3つ。
- 歴史の教科書に世界史が追加
- グラフや資料の掲載が増大
- SDGsがあらゆる所に追加
SDGsは全教科の教科書に登場していますが、特に社会科はSDGsとまるまる関わっている分野です。
細かい部分の変化としては、地理・歴史・公民の全ての教科書に「スキル・アップ」や「技術をみがく」という解説の項目があることです。
グラフや年表の作り方や、歴史に出てくる絵巻物の見方など、暗記だけではなく、自分で考えて答えを導き出す力や、資料を読み取る力などを養っていくことが目的となっているのです。
また、冒頭でもお伝えしましたが、新しい社会の教科書には、どのページを開いても「データや写真の資料」が山のようにたくさん出てきます。
「写真やデータの資料で埋め尽くされている」と言っても過言ではありません。これからの社会科は数学や理科と同じように、データを読み取る力も必要になるというワケです。
~大改定後の中学社会~
「歴史」の教科書はこう変わった!
中学の歴史分野では、日本に影響を与えた“世界史の部分”が学習範囲として増えました。日本の歴史を学習していくだけではなく、世界の歴史がどのように日本の歴史に関わっていたのかを詳しく学習していきます。
世界史の中でも特に、近現代の世界史の内容は、歴史の教科書の50%も占めています!
歴史の教科書に「世界史」が大きく加わったことで、社会科の歴史の授業時間が5時間増え、これまで130時間だった授業時間が135時間となりました。
日本史+世界史のミックス歴史に!
教科書前半部分では…
これまでの日本史の内容に加えて、世界史の部分では、日本の年表の縄文時代から弥生時代と同時進行で学んでいきます。
主に「古代ギリシャとローマの政治と文化」「モンゴル帝国の皇帝フビライ=ハンの活躍」「ムスリム(イスラム教徒)商人の活躍」などを学習します。
ギリシャのパルテノン神殿は聞いたことありますか?ギリシャ神話の女神アテナがまつられていたといいます。そんな神殿も教科書に載っていますよ。チェックしてみてくださいね。
教科書後半部分では…
日本史の年表でいうと、安土桃山時代以降~現代までの近代国家を学習していきます。
主に「アメリカの独立戦争とフランス革命の近代国家」から学習し、三権分立や人民主権など、公民で学習する政治の内容が歴史でも出てきます。フランスの軍人ナポレオンや、アメリカ大統領リンカーン、南北戦争も出てきますよ。
また、新しい教科書には、日本の時代年表が各ページに記載されています。例えば「古代ギリシャとローマの政治」の時代は、日本の年表でいうと「縄文時代~弥生時代」だ!ということが年表を見ればわかります。世界史のページにも日本のどの時代とリンクしていたのかが分かりやすくなったのです。
- 世界史の主な学習内容 -
<教科書前半>
・古代ギリシャとローマの政治と文化
(日本年表:縄文~弥生時代)
・モンゴル帝国の皇帝フビライ=ハンの活躍
(日本年表:鎌倉時代)
・ムスリム(イスラム教徒)商人の活躍
(日本年表:平安から戦国時代)
<教科書後半>
・アメリカ独立戦争とフランス革命の近代国家
(日本年表:安土桃山~江戸時代)
歴史の教科書を前半後半に分けてみると、パッと見は前半のほうが多いように感じますが、教科書の後半部分は近代~現代です。教科書全体の50%ですから、より近現代の学習が重視されていることが分かりますね。
~大改定後の中学社会~
「地理」の教科書はこう変わった!
地理の授業時間は、2020年まで120時間だったのが、2021年からは115時間になり、5時間減少しました。
地理分野の大きな変化は、教科書の目次の大項目が2つから3つに変わったことです。
2020年までの教科書は、第1部「世界の様々な地域」、第2部「日本の様々な地域」の2項目でしたが、2021年改訂後の教科書では、第1部「世界と日本の地域構成」、第2部「世界の様々な地域」、第3部「日本の様々な地域」の3項目になっています。
■ 2020年まで(2部構成)
第1部「世界のさまざまな地域」
第2部「日本のさまざまな地域」
■ 2021年から(3部構成)
第1部「世界と日本の地域構成」
第2部「世界のさまざまな地域」
第3部「日本のさまざまな地域」
■ 2020年まで(2部構成)
第1部「世界のさまざまな地域」
第2部「日本のさまざまな地域」
■ 2021年から(3部構成)
第1部「世界と日本の地域構成」
第2部「世界のさまざまな地域」
第3部「日本のさまざまな地域」
項目がこのように変わったことで、これまで中1の終わりから中2の初めに学習していた“時差の調べ方”が、中1の初めの項目「世界と日本の地域構成」で学習することになりました。
時差の問題は、計算が必要だったり、西経と東経で日付が変わったりして少し複雑ですので、中1の初めに習うのは少し難しいと感じるかもしれません。
しかし、社会(地理)の時差の学習時期には、数学では正負の数の加法・減法を習うので、マイナスの数が出てくる時差の計算も理解しやすくなります。
地理の教科書には、時差の調べ方もしっかり載っていますし、QRコードを読み取って、時差の調べ方の解説を見ることもできますので、最初の段階で「地理嫌い」にならないように、教科書をフル活用しながら確実に理解していきましょう。
~大改定後の中学社会~
「公民」の教科書はこう変わった!
公民の授業時間の増減はありません。2020年までと2021年からで授業時間は同じ100時間です。
今回の教科書改訂で、公民では実社会を意識した学習が重要視されるようになりました。政治・選挙権に関する学習(主権者教育)と、モノの消費に関する学習(消費者教育)が重要視されています。
政治・選挙権に関する学習
前回の教科書改訂と比べて大きな違いは、選挙権が18歳からになったことから、公民の教科書では今まで以上に政治に対する意識を高めようと、「政治・選挙権に関する学習」がより充実したものになっています。
20歳から18歳に引き下げられた選挙権は、2016年6月19日に施行されました。しかし未だに10代や20代の投票率が低いので、新しい学習指導要領では私たち主権者の政治に関する学習が重視されているのです。
以下のグラフは、参議院議員の通常選挙における年代別投票率の推移です。10代と20代の投票率がどれだけ低いかが一目瞭然ですね。
参照元: >>総務省のホームページより
公民の教科書にも、このようなグラフや表などのデータ資料がたくさんあります。データを読み取る力が求められているのです。
モノの消費に関する学習
モノを買う時などに発生する「契約」に関しての学習です。
私たちが家や車など大きな買い物をするときはもちろんですが、日常の小さな買い物をするときにも実は「契約」をしています。
例えば、宅配ピザを電話やネットで注文するときに、わざわざ契約書にサインや捺印はしませんよね。電話の場合はお店の人に注文メニューを口頭で伝え、お店の人は「ご注文ありがとうございました」と言って電話を切ります。
この時点で「契約」は成立しています。契約書とかがなくても、お互いの意志の同意があれば口頭のみでも契約は成立するのです
チャイムが鳴り、ピザが届けられました。
そこで、もしもあなたが「やっぱりいらない」と言ったらどうなるでしょう?
商品(ピザ)を受け取ってないからと言って、代金を支払わなくてもいいのでしょうか?
電話注文をした直後にもう一度電話をかけてキャンセルを申し出て、ピザを焼く前とかでしたら注文の取り消しが出来るかもしれません。
この場合は「契約を取り消す」という新たな契約をするということになります。もちろん契約はお互いの意志の同意が必要ですので、店員さんがキャンセルを認めてくれれば「契約を取り消すという新たな契約」が成立するので問題ありません。
しかし、ピザが出来上がり、あなたの家まで届いてからのキャンセルは、さすがに認められません。焼き上げたピザの材料費や人件費、宅配にかかったガソリン代など、さまざまなお金がかかっていますので、家まで届けた時点でのキャンセルはお店にとって損害となってしまうからです。
それでも代金を支払わないとなると、お店から損害賠償請求をされるかもしれませんし、イタズラだと思われてしまったら、営業妨害で訴えられてしまうかもしれません。
このように身近な場面設定から「契約」について学習していきます。
また「クーリングオフ制度」など、契約後に起こりうることなどについても、それぞれの場面設定で学習していきます。
何かの注文や買い物は、大人になるにつれて自分でやることが多くなります。将来、実社会で必要になる知識を、身近に感じられる場面を通して身に付けていくことが重要視されているのです。
~大改定後の中学社会~
「SDGs」が教科書に大量導入
英語や数学と同様に、社会の教科書にも「SDGs」が盛り込まれています。
地理・歴史・公民の全ての教科書にSDGsが掲載され、特に地理と公民ではより深く触れられており、教科書の最初の見開きからSDGsが出てきます。
地理と歴史の教科書には、SDGsを意識した「共生」「環境」「防災」に関して解説されているコラムもあります。
地理の教科書の「共生」では白人と黒人の人種差別、戦後の広島の平和記念都市など他者や過去と生きることを取り上げた内容になっています。
「環境」は地球温暖化など「防災」は水不足対策や震災などの内容を取り上げて、世界が抱える問題をもっと深く理解するよう生徒に促しているのです。
授業では、自分たちの身近な地域にどのような課題があるかを考えていくなど、自分で考えて判断する「思考力・判断力・表現力」を育てることが重要になっています。
歴史の教科書でも、今まではそれぞれの時代で出てくる戦いごとにしか紹介されていませんでしたが、新しい教科書では、他の時代と比べて戦い方にどのような変化があったのか、家康はどうして朱印状を出したのか、など、生徒が考えるように促しています。
SDGsに直接つながる内容ではなくても、”自分で考える力”を授業で成長させていくことになります。知識を得るだけでなく「なぜ?」「どうして?」を生徒自身に考えさせる機会は確実に増えていきますよ。
最後までお読みいただきありがとうございます。ご挨拶が遅れて申し訳ありません。ジャニアスで家庭教師の講師をさせていただいている“さやか”と申します。
このページでは2021年からの新しい学習指導要領で変わった中学校の社会についてお話させていただきました。
今回の大改訂で「ただ暗記するだけの社会」ではなくなっていることをお分かりいただけたと思います。
社会は確かに暗記科目。5教科の中でも、地理・歴史・公民と学習科目が一番多く、その分、覚えることも多いと言えるでしょう。
ですがそれ以上に、これからの社会科の授業では、さまざまな社会問題を通して自分で考え、データから読み取る力が、より必要になってきます。
家庭教師の指導でも、資料を使って出題されている問題は、資料のどこをどう読み取っていくか、ポイントをお子さんと一緒に確認していきながら二人三脚で勉強を進めています。
覚えるところはちゃんと覚えて、自分で考えたり資料を読み取って行ったり…。日々の積み重ねで実力をつけながら、一緒に成績アップを目指していきましょう!
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