こんにちは!
家庭教師のジャニアスの藤原です。
先日、千葉県の公立高校入試分析セミナーに参加してきました!
千葉県の高校入試について、重要な変更点がありましたので、お伝えしなければと思い、コラムにさせていただきました。
この記事では、2024年の千葉県公立高校入試の変更予想と、教科別の出題予想についてお話させていただきます。
千葉県もマークシートの導入が決定!
千葉県では、2023年の公立高校入試で、98校で合計933件の採点ミスがあり、誤って不合格としてしまった受験生6人を新たに入学許可候補者としたことを発表しました。
そこで、第三者委員会の要望によって、
「採点者の負担を減らすため」
「子供の未来を採点ミスから守るため」
という理由から、2024年入試からは、記述式だけではなく、マークシート方式を取り入れる形に急遽変更が決まったようです。
尚、7月中旬頃に問題のサンプルが発表されますので、こちらもしっかり分析していきたいと考えています。
また、今回参加させていただいた入試分析セミナーでは、他県でマークシートを取り入れたところの例を踏まえての予想をしていただきました。
例えば、愛知県の場合は、記述式から全てマーク式の問題にしたことで、難易度が大きく下がったそうです。
※平均点例年6割前後→7割越え
全ての問題をマーク式にしてしまうと、運よく高得点をとってしまう受験生がどうしても増えてくるのです。
うまくこれを避けているのが、東京都のような、マーク式と記述式のハイブリット型の入試問題。千葉県はこれに倣う(ならう)のではないかという予想です。
以上の点を踏まえて、2024年の入試で押さえておきたいポイントを、教科ごとに考えていこうと思います。ぜひ参考にしてくださいね!
教科別の千葉県公立高校の入試分析
ここでは入試教科(英数国理社)を教科ごとに問題分析してみました。
数学
箱ひげ図の問題に注意!
中2の教科書の新範囲として、2021年の教科書改訂で登場した「箱ひげ図」。新範囲は2年連続で出ないのではないか…と楽観視されていましたが…。
実際は、2022年2023年と連続で出題されてしまいました。しかも、2023年の問題の方が難しかった!
更に、全国の出題傾向を見ると、「箱ひげ図」の出題県数は21→42となんと倍増。23年はほとんどの県が、「箱ひげ図」の問題を出題しているのです。
これはもう、「来年は出ないだろう」と、タカを括っている場合ではありません。しっかりと勉強してください。
また、中1の「データの活用」も強くつながっている範囲なのでしっかりと復習をしておきましょう。
ただ、必要以上に怖がる必要はありません。箱ひげ図の問題は、複雑な計算は必要ない場合がほとんどです。
なぜ解けない子が多いのかといえば、一言。
「ほとんど勉強していないから」
箱ひげ図の問題は知識問題です。最低限の知識が入っていれば、必ず解けます!!
2024年度入試に向けて、データの活用、データの分布の範囲で勉強しておいて欲しいことは、
・累積度数(中1:データの活用)
・四分位数(中2:データの分布)
累積度数は、度数の足し算!
四分位数は、第1四分位数、第2四分位数、第3四分位数と、小さい順に並ぶと覚えておいてください!
思考力問題は直前の対策ではムリ!?
思考力問題のことは、もちろんみなさんもご存知かと思います。千葉県では毎年、大問4番。最後の大問として出題されるようになりました。
思考力問題の特徴は3つです。
(1)日常がテーマ
(2)問題が長文
(3)難易度の幅が大きい
(1)と(2)の特徴は厄介です。
日常がテーマということは、ほとんどの子にとって初見の問題。そして長文も問題を見た瞬間にすぐにあきらめてしまう子もいます。
ただし(3)の特徴も忘れないでください。
簡単な問題が隠れていますよ!
2023年の問題であれば、最初の空欄(a)は、式にすると、「-1+2+1=2」という問題でした。これが解けないのは、正負の数の計算ができないからではありません。国語の対策を怠ってきたからです!
国語の勉強は1年生から絶対に必須です。
みなさんもご存知の通り、国語の文章題は、「初見の長文を読んで、簡単な問題と難しい問題(記述など)を解く」ことだからです。
日々の国語の対策は、そのまま思考力問題への対策になりますので、しっかりと小学生の段階から、国語の読解問題を大切にしてくださいね!
数学の思考力問題についての話はここで終わりますが、この後にも思考力問題の話は出てきます。
そうです。理科社会にも、思考力問題はあるのです。
「じゃあ、英語と国語には思考力問題はないのね」
と思われる方もいるかもしれませんが…
それは少し違いまして、英語や国語の入試問題には、元々「初見の長文を読んで、簡単な問題と難しい問題(記述など)を解く」という要素がありましたよね。
元々思考力が問われる問題は毎年出題されていたのです。
つまり、5教科どれを取っても、入試で高得点を狙うには「国語の勉強が必須」になったのです。この点を肝に銘じた上で、残りの4教科も読み進めてください。
マークシート導入により作図がなくなる?
今回の入試分析セミナーでは、千葉県の県立入試にマークシートが導入されることにより、作図がなくなる可能性があるということを勉強しました。
理由は、年々表現力が問われる現代に、大問3の完全証明の問題と、大問4の記述問題を削ることが考えにくいからです。
採点ミスを減らすために、記述問題は確実に減るわけですから、まず削られるとしたら、作図問題ということなのです。
なるほど納得ですね。
もちろん、作図問題の対策も一通りはやっておきましょうね!少なくとも、基本的な「垂直二等分線」「角の二等分線」は引けるようにしておきましょう。
数学が大変長くなってしまいましたが、残りの4教科は3分の1くらいの長さになるようにしますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね!!
英語
英語の入試問題は必ず“難化”する
少し前の話なりますが、2020年に小学校の教科書改訂が行われ、小学校からの英語に成績がつくことになりました。続いて1年後の2021年には、中学校の教科書改訂が行われましたね。
英語の教科書って、ビックリするほど難しくありませんか?
入試を研究している先生も「戦後最大の難しさ」とおっしゃっていました。
このことの何が恐ろしいかって、教科書改訂後も、小学校の英語の勉強はとっても簡単に感じているお子さんがほとんどだということです。
なぜなら、小学校では、英語を「書く」「読む」の問題が少ないから。
しかし、2021年、中1最初の定期テストからは、「アルファベットを書いてみましょう。大文字は?小文字は?」のような問題は消失し、大人も解けない空欄補充問題が出現。
突如として、「Writing 書く」「Reading 読む」の問題がフルスロットルで爆走し始めたのです。
結果、小学生の時に、英語の読み書きを家庭で重視していたお子さんが、しっかりとスタートダッシュを決め、その他のお子さんは大きく出遅れてしまう…、という事象が発生したのです。
2023年の入試では、5教科の中で英語が最も得点の格差が出ました。つまり、出来る子と出来ない子の差が激しかったというわけです。
もうお分かりですね…。
必ず難化します。
ついでにお話しておくと、2023年に中2のお子さんは、小学校から合わせると、改訂後の教科書を5年間勉強してきた計算になります。その前提で作られる入試。
もうお分かりですね…。
必ず、更に、難化します。
この「英語が難化」に対する対策は…、
英語の読み書きを習慣化することです。
できれば小4から、遅くとも小6からは、英語の読み書きの練習を習慣にすることをおすすめします。
「そんな対策、してなかった…」という方は、千葉県専門の家庭教師ジャニアスにお任せください!
どうなる英作文?どうなる空欄問題?
英語の入試問題にもマークシートは導入されますので、選択問題が増える可能性はあります。ただし、元々半分以上は選択問題なので、難易度が下がることはまずないでしょう。
千葉県の公立高校入試では、毎年、英作文が出題されていますので、2024年も英作文は出題されるでしょう。
ただし、採点者の負担を減らすために、文章を書く時の条件が増える可能性もあります。
「必ずLet’sという語を入れましょう」
などという条件ですね。
過去問だけではなく、予想問題となる模試を受けてしっかり復習することが大切になっていきます。
ちなみに、兵庫県や東京都を見ると、マークシートが導入されても空欄補充問題はなくなっていません。マークシートが導入されるからといって、英語が簡単になるとは、絶対に思わないでくださいね!
SDGsや時事にまつわる英文に触れておこう!
長文読解は、環境問題や地域創生、伝統文化の継承など、SDGs感に溢れるテーマになることが多いので、普段長文読解の問題を解くときから意識しておくといいでしょう。
日本語訳の(注)が大幅に減ってきているので、読解のための語彙力は必須となります。特にSDGs関連の単語は普段から注意して勉強するようにしましょう。
また、昨年から今年にかけて大ブレイクした「ChatGTP」がテーマになる可能性も大いにあるのではないか?ということも教えていただきました。なるほど!これも納得です!
この辺りも意識しながら、普段の勉強に取り組みたいですね!
国語
マーク導入により平均点が上がる!?
国語は、マークシートの導入により、抜き出し問題などを含む記述問題を減らさざるを得ないのではないかと思います。
また、漢字の書き取り問題もありますので、こちらもどうしても減らす、もしくは無くさざるを得ないのではないのかという予想でした。
学力上位の国語が得意なお子さんは、国語で差がつけづらくなるので、残念かもしれませんが、国語が苦手なお子さんには、2024年はチャンスの年になりそうです。
もちろん、油断はしないでください。普段から国語の読解問題に取り組んでおくことは、5教科全体の点数の底上げにつながりますよ!!
記述が減ることで文学系の文章読解は簡単に?
マークシートの導入で、特に記述問題がほとんどだった文学系の文章問題は簡単になる可能性が高いです。
対して、論説文の文章題は、より文章を抽象化することで難易度を保つことができます。
ただし、同じ選択問題でも「問題文の内容に合っている選択肢を全て選びなさい」のような設問は、当てずっぽうで正解を得ることは難しいでしょう。
千葉県では古典も毎回大問として出題されますが、こちらもマークシート導入で、多少簡単になる可能性は否めません。
古典は苦手だからと諦めずに、対策は取っておきましょう。
理科
思考力問題が増えている!
理科も、思考力問題が増えています。
千葉県の理科は会話形式で、問題文が長く、解き方がわかっていないと時間が足りなくなってしまいます。
問題のページ数は17ページ!
なんと全国最多です。
また、全国的にも日常生活につながる問題が増えてきています。「耳抜き」をテーマにした気圧水圧の問題や、「味噌汁」がテーマの問題も出題されていたようです。見たことがない初見の問題である点も、思考力問題の特徴でしたね。
ちなみに、千葉県でも、「チバニアン」が問題に取り上げられていましたね。日常生活に繋がる…訳ではありませんが…。
広い知識量と、長文に惑わされない読解力が必要になります。
新分野の対策を忘れずに!
教科書改訂後の新分野は、理科でも積極的に出題されています。
2022年の入試では「ダニエル電池」の問題が出題されましたし、2023年は「イオン化傾向」が出題されました。
2024年は、また「ダニエル電池」が出題される可能性があります。「ダニエル電池」「イオン化傾向」の学習はセットになりますので、しっかりと確認をしておきましょう。
社会
歴史の「年代順に並び替え問題」に注意!
「年代順並び替え問題」が、千葉県では3問出題されていました。
これは非常に難問です。単純な「点」としての知識ではなく、年表形式で、更に日本史と世界史を平行するような形で、「面」で知識が入っていなければ解けない問題だからです。
これは、マークシートになっても難易度は変わりません。
年代で言うと、特に近現代史の問題が難化しているので、意識して勉強するようにしましょう。どうしても歴史と言うと、戦国時代や幕末が花形のようなイメージがあり、その時代を中心に勉強してしまう人が多いのですが、千葉県は近現代史です!しっかり確認しましょう。
地理は点数の取り所?
歴史よりも地理の方が正答率は高いです。
ただし、資料を読む力や、簡単な計算が必要な問題もあるので、単純な知識だけで得点できる訳ではないことを覚えておいてください。
社会の問題も全体的に思考力問題のような傾向が強いですが、その傾向がもっとも強いのが地理と言えるかもしれません。
初めて見る膨大な資料と文章から、必要な数字を素早く読み取る必要があります。
過去問や模試を使ってしっかり練習をしておきましょう。
公民は時事に関心を持つことも重要!
公民分野は、やはりSDGsに関わるようなテーマの出題が増えています。千葉県では大問7で、人権がテーマになっていましたね。
また、アルファベット3文字問題が千葉県は好みのようで、2022年はCSR(企業の社会的責任)、2023年TPP(環太平洋パートナーシップ)が出題されました。こういったところも意識して知識として頭に入れていくといいでしょう。
日ごろからニュースにも関心を持って見るようにしてくださいね!
いかがだったでしょうか。
今回の記事は、2024年の千葉県の公立高校入試についてお話させていただきました。
これから夏休みが始まりますね。
まさに受験生にとって、本領発揮のタイミングが近づいているわけです。
ぜひ、この入試分析を参考にしていただき、効率よく受験勉強を進めてくださいね!