こんにちは。
家庭教師のジャニアスの木戸です。
本日は、不登校の中学生が家庭教師のジャニアスを利用して「出席扱い」として認められる際のルールや取り決めについてお話させていただきます。
不登校の出席扱いとは、不登校の小・中学生が自宅学習の記録を学校に報告して、出席扱いにしてもらえる制度です。詳しいことはジャニアスのホームページにも掲載していますので、ぜひご覧ください。
出席扱いの「ルール」って?
出席扱いとして学校に認めてもらうためには、ただ家で勉強すれば良いというわけではありません。例えば英単語をノートに3つ書くだけや、計算問題を1問解いただけでは出席扱いとして認めてもらえないのは当然です。
「じゃあどうすれば出席扱いになるの?」
「どのくらい勉強すれば認められるの?」
そこで重要なのが「ルール決め」です。これらのルールは出席扱いとして認めてもらうための「条件」と言ってもいいかもしれません。
1日の学習時間や教科の種類、その内容など、出席扱いとして認められる「ルール」は、中学校の校長先生を中心に、教頭先生、担任の先生、親御さん、ジャニアスのスタッフ(木戸)との話し合いの上、最終的に中学校によって決められます。
もちろん、画一的に決められるのものではなく、不登校になった原因や生徒さんの現状に合わせて柔軟に設定されます。簡単なルールから厳しいルールまでさまざまです。
では、実際に中学校に決めていただいた出席扱いのルールとはどのようなものでしょうか。ここからは具体的に家庭教師のジャニアスの実例として紹介させていただきます。
1日に「○○分以上」の学習
自宅学習の「時間数」に関するルールです。
「最低でも○○分以上は勉強してね!」というわけですね。具体的には「1日60分以上の学習」が最も多いケースですが、「1日90分以上」という学校もありました。
これらの時間数は学校側から一方的に決められるものではありません。校長先生、教頭先生、担任の先生が、生徒と保護者に1日どれくらいの時間数なら勉強できそうかをヒアリングしながら最適な時間数を決めていきます。
また、学習時間の取り決めを設けていない学校もあります。この場合、出席扱いとして認めるかどうかは先生の判断に委ねられますが、一定の基準があったほうが生徒にとっても目標設定がしやすくなりますし、学校側も出席扱いとして認めるかどうかの判断がしやすくなります。
勉強から遠ざかってしまっている不登校の生徒にとって、1日60分以上や90分以上といった学習時間は大きな挑戦かもしれませんが、家庭教師のジャニアスでは生徒の状況に応じて柔軟に対応し、生徒一人ひとりのペースに合わせてサポートしています。
認められる教科は「主要5教科」のみ
自宅学習の「教科」に関するルールです。
不登校の生徒が自宅学習を通じて出席扱いを受ける際に、学習教科の焦点は「主要5教科」に置かれます。多くの中学校では、主要5教科のみが出席扱いの学習として認められ、技能4教科については認められません。
主要5教科(英語・数学・国語・理科・社会)は、机上での学習が中心となる教科。生徒が学習したノートやワークなどを通じて、どのような内容でどれくらいの質量を学習したかを学校側が具体的に把握することができるため、自宅学習として認めやすいのです。
一方で、技能4教科(体育、音楽、美術、技術家庭科)は、実技が中心の教科。実技に特化した専門の先生による直接的な監督や指導が必要ですので、先生の目が届かない自宅での学習だけでは十分な評価が難しいのです。
ですが、技能教科でも教科担任の先生が具体的に指示を出した課題なら出席扱いとして認めてもらえたケースもありました。
例えば美術。花瓶に飾られている花の絵を描き、期日までに提出するという課題です。絵を描いた日付や時間数を記録し、期日までに作品を教科担任に提出すれば、課題に取り組んだ日数を出席扱いとして認めてもらえるといったケースです。
他にも技術のモノ作りや家庭科の裁縫など、提出ができる具体的な作品があれば、出席扱いとして認めてもらえる中学校もありました。
ですが、体育や音楽は作品としての提出ができない教科なので、どの中学校でもダメとのこと。近所の公園をジョギングしたり自宅で歌を歌ったりしても、体育や音楽の自宅学習として認められることはありません。
学指導要領に沿った学習内容のみ
自宅学習の「学習内容」に関するルールです。
不登校の生徒が自宅学習によって出席扱いとして認められるためには、学習内容が文部科学省の定める「学習指導要領」に沿っていることが必須条件です。中学校のカリキュラムはこの学習指導要領に基づいて進められているため、自宅学習も同様にこの指導要領に沿った内容でなければなりません。
例えば「フランス語を勉強した」「民法の裁判記録について調べた」といった学習内容は、中学校のカリキュラムには含まれていないため、出席扱いとしては認められません。中学校ではフランス語の授業はやりませんし、民法に関する深い授業も実施されないからです。
先日、ある中学校で出席扱いのルールを決める際に、校長先生、教頭先生、担任の先生に加え、教育委員会の方も同席されました。この会議で教育委員会の方が特に強調されたのが、家庭教師の指導方針と自宅学習のカリキュラムが学習指導要領に沿っているかどうかということでした。
ジャニアスでは、学校の教科書を基本とした内容で指導を行っており、教科書に沿った内容で宿題を出しています。このアプローチについては、ジャニアスの公式ホームページやパンフレットにも記載されていますので、教育関係者の方々からの理解と支持を得ています。
学校の教科書と授業に基づいた指導を心がけることで、不登校の生徒さんでもムリの無い形で学校復帰ができますし、学校側も生徒の学習内容が学習指導要領に沿っていることを確認できるため、出席扱いとして認めやすくなるのです。
勉強した内容を先生に見せる
自宅学習の「報告」に関するルールです。
多くの中学校では、少なくとも週に1回は登校して担任の先生に学習内容を見せるというルールが設けられています。
ジャニアスでは、生徒さんや親御さんに、自宅で勉強した内容や時間を「学習記録ノート」に記入してもらい、毎月学校にエクセルでまとめたものをメールで提出していますが、ジャニアスから学校への提出に加え、実際に勉強したノートやワークなどを生徒さん本人が担任の先生に見せるという取り決めです。
教室に入れない生徒や、同級生と顔を合わせたくない生徒にはちゃんと配慮をしていただき、放課後登校や別室登校でも可能となっています。
授業に参加できない生徒でも、定期的に登校して先生との交流を持つことで、学校生活との完全な遮断を防ぐことができますし、先生との信頼関係を築くこともできますので、学校復帰への期待も高まりますね。
この制度を利用してから、担任の先生とよく話せるようになって、これまでは学校からの手紙や定期テストの範囲表などをお母様が取りに行かれていましたが、「自分も行く!」と言って意欲的に取り組むようになった生徒さんもいらっしゃいます。
頑張って勉強した内容を先生に直接見せて、先生に褒めてもらえるなどのフィードバックを得ることで、不登校のお子さんにとって何よりも大切な「自己肯定感」がグングン高まっていくのです!
ギガタブでの授業参加も出席扱いに
ギガタブでの授業参加によるルールです。
不登校の生徒にとって、ギガタブを利用したオンラインでの授業への参加は、出席扱いを得るための重要な手段のひとつです。ギガタブとは、学校から生徒全員に貸し出されているタブレットPCのことで、皆さんも持っていますよね。
自宅からギガタブにログインしてオンラインで授業に参加することで、多くの中学校ではこれを出席扱いとして認めています。
しかし、生徒が実際にオンライン授業に参加しているかどうかを確認するのは、授業を行っている先生にとって容易ではありません。先生は授業中にずっとモニタ画面を見ているわけにはいきませんし、ログインだけして参加しているように見せかけて、実際にはゲームをしているかもしれませんし…。
このことから、ギガタブでの授業参加を出席扱いとして認めるためには、生徒自身の顔を常にカメラに映し、さらに授業中に発言も求めるという条件を設けている学校もあります。しかし不登校の生徒にとっては、クラスの皆の前で自分の顔を見せて発言することは大きなプレッシャーとなり、このハードルは非常に高いものです。そのため、ギガタブ参加がなかなかできないという声もよくお聞きします。
そこで、ジャニアスで出席扱いをサポートしている中学校では、ギガタブ参加では顔を写したり発言をしたりしなくてもよい代わりに、学習記録ノートにギガタブ参加の教科と時間を記入して学校に提出することで出席扱いを認めてもらっています。
ハードルを下げてもらうことで、生徒はギガタブで授業に参加することへのプレッシャーを軽減できながら勉強の進捗を示すことができますね。
不登校の生徒にとって、ギガタブを利用したオンライン授業への参加は、学校とのつながりを保ちながら学習を続けるための有効な手段となります。ジャニアスではこのような柔軟な対応を通じて、不登校の生徒が学校生活にスムーズに復帰できるようサポートしています。
自宅学習の出席扱いは「平日」のみ
自宅学習の「曜日」に関するルールです。
学校の授業がある平日は出席扱いとして認めてもらえますが、土日祝日については、認められない中学校がほとんどです。このルールは学校の通常のスケジュールに沿った形で設定されています。
不登校の生徒にとっては平日と土日の区別はあまり意味をなさないかもしれません。しかし学校側の観点から、教育の体系と一貫性を保つためにはこのような区別が必要です。学校の授業は平日に行われるため、出席扱いの曜日も同様に平日に限定されることが多いのです。
しかし例外的なケースもあります。自宅学習が公式に出席扱いとして認められるのは「平日のみ」が基本ですが、ご家庭の事情で家庭教師の指導日が日曜日の場合、指導日の学習を平日に振り替えて出席扱いとして認めてもらえた中学校もありました。このような柔軟な対応は、生徒の学習環境や家庭の事情に配慮していただいた結果です。
ジャニアスでは、このような曜日に関するルールを踏まえた上で、生徒の自宅学習スケジュールを平日に合わせて計画します。これによって生徒は学校の授業を同じリズムで学習を進めることができ、学校復帰に向けた準備を整えることが可能になります。
もちろん、出席扱いにはならなくとも、土日や祝日に自宅学習を行うことは全く問題ありませんよ。勉強したことがムダになることなんてありませんから!
学習記録の学校提出は毎月28日頃に
学習記録の「提出日」についてのルールです。
ジャニアスでは、生徒や親御さんに家庭教師の指導日や自宅学習の内容を「学習記録ノート」に記入してもらい、そのページを写真に撮ってジャニアスにライン添付で送信してもらいます。ジャニアスがその内容を確認し、エクセルでまとめたデータを月末に学校にメールで送るというのが学校提出までの一般的な流れです。
ここでの「月末」とは、具体的には28日頃を指します。この日付には多くの中学校からの要望が反映されています。担任の先生が生徒個人の出席状況を教員委員会に報告する日程が月末の平日最終日であるため、30日や31日にデータが届いても報告が間に合わないことがあるからです。
例えば、最終日が31日の月の場合、28日に報告メールを送ることで、土日や祝日が入っていても教育委員会への提出が間に合います。また、担任の先生の勤務時間を考慮しても、28日頃の提出が最適となります。
また、月末が31日で28日に報告メールを送った場合、29日~31日の学習記録については「予定」として報告すれば、出席扱いとして認めてもらえるケースがほとんどです。もちろん「予定」については、保護者、学校、ジャニアスとの信頼関係を保つことが重要であることは言うまでもありません。
これによって、月末ギリギリの自宅学習や家庭教師指導日も出席扱いとして認めてもらえるので、生徒は安心して学習に取り組むことができますし、学校側も生徒の学習状況を適切に把握することが可能となります。
学校の先生と保護者の方へ
いかかでしたか?
今回は不登校の出席扱いについての「ルール」についてお話させていただきました。
ここでご紹介したルールについては、ジャニアスでサポートしている生徒さんの実例ですが、すべての中学校で同じルールというわけではありませんし、出席扱い制度そのものについても、学校によっては認めてもらえないケースもあるかもしれません。
あらためて、出席扱い制度を認めていただき、子供たちの未来を支えていただいている先生方への感謝と、不登校でお悩みの保護者の方へのメッセージを伝えさせてください。
学校の先生方へ
柔軟な対応をしていただきありがとうございます。先生方のご理解とご協力があってこそ、不登校の子どもたちが学び続けるキッカケを得ることができ、学校生活への復帰への道が開かれます。先生方の献身的なサポートに、心から感謝を申し上げます。
不登校でお悩みの保護者の方へ
お子さんが学校に行けない状況は、親御さんにとって大変な心配事であることを深く理解しております。私たち家庭教師のジャニアスは、この制度を通じて学校生活に戻ることができるよう全力でサポートしていきます。不登校は一時的なものであり、それを乗り越えた先には新たな可能性が広がっています。焦らず一歩ずつ前に進んでいきましょう。